みんなのための「バリアフリー」
日本でもプロ野球の試合が始まって1週間が経ちましたね。
野球好きな私は、デジタル全盛の時代になった今も
仕事後に帰宅してスポーツニュースをはしごするという
ルーティンで心が満たされまくります。
デジタル媒体を使って結果を知っていても
ひいきのチームがどの媒体でどの程度取り扱ってもらえるのか
取扱い時間が多ければ大喜び、少なければ勝手に怒るという一連を、
“スポーツニュースはしごタイム”と名付け楽しんでいます。
皆さんは何か応援したり、実際に取り組んでいたりする
スポーツは何かおありになりますか?
ところで、野球が好きな方はもちろん、そうでもないかたでも
「ストライク」「セーフ」「アウト」といった言葉と
ジェスチャーはご存じの方が多いのではないでしょうか。
この審判のジェスチャー、いつ頃出来たかご存じでしょうか。
複数の説があるそうなのですが、私が好きな説があります。
耳の聞こえないメジャー・リーガー
ウィリアム・ホイ(William Ellsworth "Dummy" Hoy)という
メジャー・リーガーがその発祥のきっかけ、という説です。
(上のリンクはJINOのひろがるほんだなを紹介しているInstagramです。お勧めの本を紹介してますのでよかったらフォローください♬)
こちらの絵本は耳の聞こえない彼がバッターボックスで、
3ストライクでのアウトに気づかなかったことをきっかけに
審判にジェスチャーをすることを取り入れ始める働きかけをしたというもの。
参考までにその他の審判伝説もご紹介まで
野球を見に行くと気づいて頂けると思うのですが
審判の大きなジェスチャーがあることで
遠くから試合を見ていても進行が解りやすいんです。
野球大好きな割に、あんまり深く考えたことがなかったので
この説を聞いたときは感動してしまいました。
ちょうど今日6月27日(土)から東京国立市で
スターバックスの手話カフェnonowaがオープンするにあたって、
コミュニケーションのバリアを無くすのは、
全ての人にとって心地よい、使いやすい環境を生む可能性があるという
認識が広がっていくと良いな、と昨日Twitterで紹介しました。
このウィリアム・ホイ選手の話も同じだと思っています。
彼が現役だった130年前に出来た視認性を高めるジェスチャーで
130年後の私たちが今もその恩恵にあずかっていることの素晴らしさ。
「コミュニケーションのバリアを無くすのは、全ての人にとって心地よい、
過ごしやすい環境を生む可能性がある」という考え方
が広く伝わったら嬉しいと思います。
バリアがあることを認識してもらうことから
以前、私はスイスの補聴器・補聴援助機器の製造メーカーで仕事をしていました。
その会社でもご縁があって、野球を通してメッセージを発信したことがあります。
当時、ブランドマネージャーという職務を頂いていて、
自分たちの会社が情報をお伝えしている
年齢や範囲が少なすぎると考えていました。
もっとたくさんの人に、聴覚の課題の存在を知ってもらい
同時に障害の社会モデルについて考えてもらえるようにしたいと考え、
まず、当時の上司と相談しながら、勤務していた会社の本社がモットーに掲げていた
『Breaking the Barrier』という信念を、
「聞こえのバリアを感じない世界の実現を目指す」という日本語に訳して
色々なところでこのメッセージを繰り返し伝えていくようにしました。
そしてもう一つ、聴覚に課題を持つ子どもに、
世界は広い、だから自分で自分の限界を定めることなく、
いろんなことに挑戦して欲しい、
という思いをどうにか形にして伝えたいな、と日々考えていました。
そんな中で、自分のひいきのプロ野球チームに難聴を持った選手がいること、
そのチームのマスコットキャラクターの名前と、
私の勤務していた会社のマスコットがたまたま同じ名前だという事を、
お世話になっていた代理店の方にお伝えして
一緒にお子さんを招待してイベントか何か出来ないかなと
ダメもとで相談しました。
球団の方、代理店の方がその思いに賛同してくださって
実現したのがこんなイベントです。
この時に招待させていただいたお子さんたちが
グラウンドに立って選手とハイタッチする姿を眺めた時に
感無量すぎて裏でこっそり大泣きしていたところ
球団の担当者の方に笑われてしまったのも、良い思い出です。
大観衆の中でプロとして野球をする選手たちの真摯な姿にふれて
子どもさんたちに、広い世界に限りないチャンスがある、
という事実を体感してもらえたこと、
そして普段身近に聴覚障害を持つ人と関わることのないかもしれない
4万人の人たちに、少しでも興味を持ってもらえる機会をもらったこと。
イベントの様子は短い動画にまとめてYouTubeで公開されています。
自分のひいきのチームを30年応援してきてよかった、
と再確認しましたし、(笑)
沢山の方にご協力いただくと、こんな大きな機会を得ることが出来る
と知ることが出来た、私にとっても貴重な体験でした。
私のひいきの球団でもある埼玉西武ライオンズは、
日本のプロ野球球団のなかでは、かなり早い段階から
障害をもつお子さんを試合に招待するという企画を
選手が行っていて(潮崎投手:1980年代の名選手です が始められて以来継続しているそうです)
そんな球団のご理解もあっての実現でした。
今はプロ野球界全体で、社会貢献活動も活発に行われるようになっています。
ちなみに、イベントを実施した際には残念ながら
聴覚に障害を持って活躍されている
山田選手が1軍帯同されていなかったので、
子ども達と直接お会いしてお話出来ることは難しかったのですが
これから先、もっともっとたくさん、難聴を持った選手も
活躍の場が増えて欲しいな!と思います。
山田遥楓選手の一軍初デビューはホームランでした!!!↓↓
余談ですが引退された石井選手も有名でしたね!
(西武ライオンズの選手ではありませんがステキな選手でした!)
審判のジェスチャーの話から、プロの舞台で活躍する選手まで
話が広がってしまいました。。💦
これからも色々な機会を見つけ作って、
沢山の人たちにお力・お知恵をお借りしながら、
社会にある聞こえの課題、コミュニケーションのバリアを知ってもらい
お子さん達に、自分でバリアを作らずに
どんどんいろんなことに挑戦するお手伝い・後押しをしたい と思っています!
お読みいただきありがとうございました!
何か一緒にやろう!やりたい!など、
ご意見、ご感想いただけたらとても嬉しいです!!
LMH 郷司