停電想定の避難所体験…聴覚障害者の防災訓練 課題あぶり出し

停電想定の避難所体験…聴覚障害者の防災訓練 課題あぶり出し

京都府福知山市で2日、耳が不自由な市民を対象にした防災訓練が初めて実施された。災害時に開設される避難所を体験し、聴覚障害者らが避難する時の課題をあぶり出すのが狙い。参加者たちは段ボールベッドで横になったり、簡易トイレに座ったりして、避難所生活の一端に触れた。【庭田学】

聴覚障害当事者団体など5団体でつくる「聴覚障害者の豊かな暮らしを築く福知山ネットワーク」と市が合同で訓練を企画した。耳が聞こえない・聞こえにくい人8人のほか、支援団体メンバー、福知山公立大、京都大防災研究所の学生ら計約50人が参加した。

大雨による水害で、市総合福祉会館(同市内記)の避難所に身を寄せる、とした訓練。手話通訳者はおらず、市職員は受け付けの1人だけ。参加者は筆談で、3階の和室が避難所であるとの説明を受けた。停電を想定して階段で3階に上がり、暖房がない避難所を体験した。

訓練後の意見交換で参加者からは、音声を文字変換するスマートフォンアプリの事前準備や、災害状況を把握するためのテレビの設置などの要望が出た。

市危機管理室の森下邦治室長は、災害時、市設置の避難所48カ所に市職員を2人ずつ配置するのは困難だとし「福祉対応の避難所は4カ所あり、人員や物品も充実している」と説明した。福知山自主防災ネットワークの大西勝己事務局長(西町自治会長)は「耳が不自由な人は避難所でどうしていいか分からず不安。地域住民が支える体制が必要だ」と指摘した。

訓練に参加した耳が不自由な会社員、四方裕美子さん(48)は書面での取材に「水害の経験はあるが、避難所に行ったことはなかったので、聴覚障害者が安心できる避難のあり方を学べた。いつでも避難できるよう準備したい」と答えた。

福知山難聴協会の渡部泰之会長は閉会のあいさつで「繰り返し訓練をすることが大切。他の障害のある方、高齢者の方の訓練もすると、課題がより見つかりやすい」と述べた。福知山ネットワークの中村晶子事務局長は「避難所をどう改善していくか、考えるきっかけになった。聴覚障害者、支援者、行政職員が互いに理解を深め、避難がスムーズに進むよう協力したい」と話した。

リンク先は毎日新聞というサイトの記事になります。
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