筆談やスロープ設置…
ゼミ生 飲食店で店員がお客さんと筆談で会話していました。
教授 聴覚障害のある人とコミュニケーションをとる際に使われますね。障害のある人は日々、社会生活で様々な支障や制限に直面することがあります。そういった場面で何らかの対応を求められたら、要請された側は負担にならない範囲で応えることを「合理的配慮の提供」と言います。障害者差別解消法に定められており、耳が聞こえづらい人から筆談を求められ、応じるのもこの行為にあたります。
ゼミ生 他にはどんな場面が考えられますか。
教授 例えば、店舗の出入り口前に段差があり、車いすの利用者にとって、1人で店に入るのが難しい場合があります。その際、店は利用者から「車いすを持ち上げてほしい」と頼まれるかもしれません。大きな施設であれば、スロープなどを付けることも考えられますね。
ゼミ生 誰もが応じないといけないんですか。
教授 法律は行政機関や事業者に対応を求めています。特に、これまで努力義務にとどまっていた事業者も、来年度からは義務化の対象になります。企業や店舗だけでなく、個人事業主やボランティアグループなども含まれるのです。
怠ると行政の指導も
ゼミ生 罰則はありますか。
教授 怠ると、事業者は行政に報告を求められたり、指導を受けたりします。正当な理由がなく一律に利用を拒むことは「不当な差別的取り扱い」として禁止されています。過重な負担にならない範囲で対応する必要があります。
ゼミ生 どの程度の負担が「過重」と判断されるのでしょうか。
教授 事業への影響や、技術的、人的制約などの実現可能性、費用といった要素が考慮されますが、個別に判断するしかありません。1人で切り盛りしているお店の混雑時に、店内の買い物に付き添ってほしいといった要望は「過重な負担」に当たりそうです。
ただ、この場合も単に断るのではなく、代わりに商品を準備するなどの次善策を講じる必要があります。障害のある人とよく話し合い、一緒に解決していくことが重要です。
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