新学習指導要領に基づき、個別最適な学びの充実や主体的・対話的で深い学びの実現が求められる中で、学びのユニバーサルデザイン(UDL)に関心が集まっている。
UDLは、すべての子が学びのエキスパートになるよう支援する概念フレームワークだというが、いったいどんなものなのか、UDLによって学びや教員の役割はどう変わるのか。
UDLに詳しいバーンズ亀山静子氏に話を聞いた。
主体的な学びに必要なのは「自分で選ぶ力」
もともとユニバーサルデザインとは、米国の建築家ロナルド・メイスらが提唱したもので、万人が使うことを想定して設計することで多くの人がアクセスしやすいデザインになるという考え方だ。
「学びのユニバーサルデザイン(Universal Design of Learning:以下、UDL)」も同様のアプローチだというが、UDLとはどんなものなのか。
UDLの普及に努めてきたバーンズ亀山静子氏は、こう説明する。
「UDLはメソッドではなくフレームワークです。障害の有無にかかわらず、すべての子が学びのエキスパートになるよう支援する概念フレームワークになります。
従来の授業は、先生が知識を教え授けるものでした。UDLでは、教員は知識を授けるのではなく、自分の授業に『存在しうるバリア』を見つけ、それを取り除くべく授業をデザインしていくのです。バリアがなくなれば学習者は主体的に学ぶことができます」
インクルーシブ教育への関心はもとより、今UDLに注目が集まっているのもここに理由がある。
2020年にスタートした新学習指導要領に基づき、ICTを最大限に活用しながら「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図り、主体的・対話的で深い学びの実現による授業改善が求められているからだ。
では実際UDLを取り入れると、授業はどう変化するのか。
「例えば、紙の教科書を使った授業では、ディスレクシアや視覚に障害がある人にはバリアが生じます。障害でなくても、外国語話者や読むより聞いたほうがわかりやすいという人や場合もあるかもしれません。そこで『デジタル教科書』『デバイスの音読機能』『キーボード入力』といったオプションや代替策を用意して使える状態にしておきます。大切なのは、先生がこれを使いなさいと指示するのではなく、本人が学びやすいものを選ぶこと。また自分に必要なものを安心して選べる状況をつくることが重要です」
先生は困っている子がいると、つい何かしてあげようと考えてしまいがちだが、あくまで一人ひとりが自分で選ぶことが大切だという。
学習者である子ども自身が、自分で選ぶことができなければ、主体的な学びになりようがないからだ。
「ただ『選びなさい』と言うだけでは、やり方がわからない子もいます。ですから、まずは例を挙げながら選び方の基準や判断の仕方を教える必要があります。もちろん、間違えることはあるでしょう。そんなとき、教員が『どうだった?』と気づきを促すことや、『これを試してみない?』と提案するのはいい。ですが、あくまでUDLにおける教員の役割は子どもに伴走すること。教師は足場かけを用意しますが、それを必要に応じて使ったりやめたりするのは子ども自身です。ルーブリックなどで次のステップがどこか確認できるようにしておいて、本人が学習を振り返り、進めていけるように伴走します。学校は子どもが自分で判断、失敗、修正までできるよう練習する場といえるでしょう」
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