「手」で歌う合唱、分断をつなぐ ホワイトハンドコーラスNIPPON

「手」で歌う合唱、分断をつなぐ ホワイトハンドコーラスNIPPON

ピースデー(9月21日)に東京・代々木公園で開かれる野外フェスティバル「PEACE DAY2023@代々木公園」には歌手の一青窈さん、AIさんなどに加えて、聴覚や視覚などに障害を持つ子どもらでつくる合唱団「ホワイトハンドコーラスNIPPON」が出演する。

この合唱団の芸術監督を務めるのはベネズエラ出身のソプラノ歌手、コロンえりかさんだ。

合唱団は、視覚障害の子どもらとつくる「声隊」と、ろう者の子どもらが身ぶり手ぶりや顔の表情で“歌”を表現する「サイン隊」で構成する。

「分断されたものをつなぐ、歓喜と自由の世界を表現したい」とコロンさん。

日本でベネズエラ発祥の音楽教育プログラム「エル・システマ」の普及に尽力する中、ホワイトハンドコーラスに出合ったという。

エル・システマは1975年、貧困や麻薬犯罪などを背景に子どもたちの自己肯定感や社会性を高めるために始まった。

国家プロジェクトとして、無償でオーケストラやコーラスなどを教える。

ベネズエラ発祥、ザルツブルク音楽祭で脚光

ホワイトハンドコーラスはその一環で、95年にベネズエラのバルキシメト市で誕生した。

市内を流れる川が化学物質で汚染され、聴覚障害を持つ子どもが多く生まれたことなどを背景に、「手話で歌う」ことを通じて、障害の有無にかかわらず互いのコミュニケーションを図ろうとしたのだという。

遠くからでも手の動きが映えるように、白い手袋をはめる。

2013年に開かれたザルツブルク音楽祭で脚光を浴び、その存在が世界に知られるようになったが、コロンさんはそれ以前にホワイトハンドコーラスの合唱を目にする機会があった。

「非常に心を打たれました。音楽を通じて、全ての人がつながるのを目の当たりにしました。例えば、言葉が分からなかったり、年齢制限があったり、耳が聞こえなかったりして、入ることができない場所が世の中にはありますよね。裕福でなければアクセスできない場所もある。だけど、舞台の上でパフォーマンスをしている子どもたちにとって、そんなことは全く関係ない。障害のある子も持っていない子も、障害の有無を忘れて音楽に酔いしれている。ユートピアの光景が目の前で繰り広げられているような、そんな衝撃を受けました」

日本では2017年にスタート

日本では、2015年に行われた「エル・システマ・フェスティバル2015 in TOKYO」で、ホワイトハンドコーラスのワークショップが開催されて結成の機運が高まった。

17年に活動がスタートし、東京では現在、コロンさんが代表理事を務める一般社団法人エルシステマコネクトと、東京芸術劇場の共催事業として運営されている。

ピースデーの本番に向け、東京芸術劇場のリハーサル室で練習に励む「サイン隊」の子どもたちは、歌に込められた「歓喜」「自由」などのキーワードを全身で表現していた。

歌い終わると、体力を使い過ぎて床に倒れこむ子どももいた。

サイン隊に1年前から参加している菱沼悠太さん(小2)は「みんなと一緒に歌えるのが楽しい」と笑顔で話し、母の見和さんは「耳が聞こえにくくても、音楽を通じて言葉が豊かになっているのを実感しています。

ホワイトハンドコーラスでの経験は、この先の人生できっと支えになるでしょう」と語った。

「声隊」の久保田光一さん(中1)は「障害に関係なく歌える集団だということを本番で伝えたい」と話した。

リンク先は朝日新聞というサイトの記事になります。
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