新生児の難聴、新スクで早期発見 その後の精査や支援で言語発達や成長への影響を最小限に

新生児の難聴、新スクで早期発見 その後の精査や支援で言語発達や成長への影響を最小限に

2024年10月15日 11:00 社会・くらし
#難聴 #新生児聴覚スクリーニング検査 #新生児 #医療・健康

スクリ-ニングを受ける赤ちゃんのイラスト

[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1345)

 先天性難聴とは、生まれつき聞こえに問題が生じている状態です。両側先天性難聴は千人に1人発症するといわれ、先天性異常の中ではダウン症や口唇口蓋裂に次ぐ高頻度で、決して少なくありません。

 早期発見が重要で、出産した産婦人科で新生児聴覚スクリーニング検査(新スク)を受けます。生後3カ月までに精査、半年までに療育が必要な難聴児への治療・支援をすることで、難聴による言語発達や成長への影響を最小限に抑えます。大変重要な検査ですが、県内では公費で負担する市町村は少なく、41市町村中15にとどまっています(2024年4月時点、県調べ)。費用負担を理由に検査を諦める方もいます。公費負担率100%の県もあり、こども家庭庁の予算も付いているので、今後に期待したいです。

 一方、新スクで正常とされても、進行性に難聴が悪化する先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症は、18年に尿検査で診断できるようになり、23年から内服治療薬が適応承認されました。

 近年は両耳重度難聴だけでなく、片耳は正常の一側性難聴や軽度・中等度難聴に対しても支援が必要とされています。近くでの1対1の会話は問題ないとしても、離れた所や難聴耳側からでは音の方向が分かりにくかったり、騒音下での聞き取りにくさがあったりするためです。両側難聴だけでなく、一側性難聴の方にも人工内耳を適応とすることが、日本でも検討されています。

 20年には琉球大学病院内に「きこえの支援センター」が設立され、難聴児を出生から一般社会へ参加し自立するまでサポートする医療・保健・教育・福祉・行政の連携の中心を担っています。難聴を完全になくすことはできません。最終的には聞こえる、聞こえにくい、聞こえないにかかわらず、多様性を認め合う寛容性を持った社会、共に生きる共生社会づくりが重要です。コミュニケーション手段もさまざまでよく、それを社会全体として支援する。これって「ゆいまーる」ですよね。(赤澤幸則、ハートライフ病院耳鼻咽喉科=中城村)


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