避難所で使える手話の普及目指す 聴覚障害者に救われた女性「恩返し」の災害時支援 東日本大震災から13年

避難所で使える手話の普及目指す 聴覚障害者に救われた女性「恩返し」の災害時支援 東日本大震災から13年

東日本大震災から間もなく13年。災害が発生し避難所生活を余儀なくされるなどした際、障害者や高齢者などの「災害弱者」をどう支援するかは大きな課題の一つだ。過去に聴覚障害者に救われた経験を持つ女性は、恩返しの意味も込めて「避難所で使える手話」の普及に取り組んでいる。

「手話を広めるコミュニティーを作りたい」。手話の普及活動に取り組む「デフリンクス手話協会」(東京都港区)の代表、中村藤乃さん(36)は、こう話す。

沖縄県出身。高校1年生の時に参加した手話サークルで初めて耳の不自由な人の世界に触れた。高校卒業後、三重県の自動車部品工場で勤務したが、ほどなくガンが見つかり「どん底まで落ち込み、自殺も考えた」。そんなとき寄り添ってくれたのが、職場にいた聴覚障害を持つ同僚だった。

周囲に病気を伝えていなかったが「私の目を見て異変に気づき、毎日、手話で語りかけてくれた」。心が救われたといい「(聴覚障害者に)恩返しをしたい」と決意した。

病と闘いながらも21歳のとき、国立障害者リハビリテーションセンター学院(埼玉県)で専門的に手話を学び始めた。その後、病気の再発や出産などを経て独自に手話を教える活動を開始。今ではオンラインや教材学習も含め、聴覚障害者と健常者あわせて約2500人に手話を教えている。

今年1月に発生した能登半島地震では、今も多くの被災者が避難生活を続けるなど、大災害が頻発する日本。自身も台風による水害で被災し、避難所生活を送った経験がある中村さんは「聴覚障害者は外見から障害の有無がわかりにくい上、配給や水の配布に関するアナウンスがあっても聞くことができないなど、避難所生活で疎外感を感じやすい」と指摘する。

こうした状況を受け、「地震が来たので逃げましょう」「物は持たなくても大丈夫」などの基本会話や、避難所での生活を想定した「何かお手伝いしましょうか」といった災害時に使う手話表現を学ぶ講座を3月10日、東京都府中市で開く。

中村さんは「耳が聞こえない人も、本当は(手話で)声をかけてもらいたい。遠慮はいらないということを今回の講座で伝えたい」と語った。

講座は府中市市民活動センタープラッツ(同市宮町)で午後2時から開催。定員は30人、参加無料。事前登録制で申し込み方法はメールsupport@deaf-links.jpで「防災手話講座に申込希望」と連絡。問い合わせは同協会(090・9304・9277)へ。(梶村孝徳)

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