LE Audioの始まりは補聴器に向けた低消費電力通信、Bluetooth SIGのキーマンに聞く

LE Audioの始まりは補聴器に向けた低消費電力通信、Bluetooth SIGのキーマンに聞く

Bluetooth SIGのCMO、ケン・コルドラップ(Ken Kolderup)氏が来日。

10月16日の「Bluetooth SIG 25周年記者説明会」でBluetooth技術の最新ロードマップを説明した。

その後、コルドラップ氏に個別取材する時間を得たので、最近のBluetoothとLE Audioに関して聞いた。

補聴器のための低消費通信がLE Audioの始まりだった

まず、Bluetooth SIGの組織としての現状について確認した。

コルドラップ氏によると「Bluetooth SIGはワイヤレス伝送に対する共通の目標をもった数社か集まって始まったが、現在は会社組織になっている」という。

「専業のスタッフが100人ほどいて、会社としてのBluetooth SIGは参加各社の書いた仕様書を管理したり、必要なツールを準備したりする役割を持つ」とのことだ。

仕様を書く他の会社とは定期的な会合を持っているのかと聞いてみた。

「Bluetooth SIGには現在15のワーキング・グループ(作業部会)があって、それぞれ異なった分野を統括している。

ほとんどのワーキング・グループは週に一度はオンラインで会合をしているので、かなり密に連絡を取り合っていることになる。

そして4半期に一度は実際に顔合わせしている」ということだ。

次にLE Audioの話題に移り、LE Audio制定の流れについて確認した。

コルドラップ氏によると、補聴器をワイヤレスにした場合、Bluetooth Classic規格では電力消費が大きくなりすぎるため、補聴器業界からBluetooth SIGにアプローチがあった」という。

コルドラップ 
「補聴器はイヤフォンと違って、終日装着しなければならない。Bluetooth LE規格を使った音声通信のプロジェクト(ワーキング・グループ)を立ち上げたところ、コンシューマーオーディオメーカーも参加してきた。LE Audioは補聴器に必要な条件として、音質向上・低遅延・消費電力低減の目標を掲げたのだが、これらの要素がブロードキャスト(今のAuracast)機能も含め、コンシューマオーディオでも興味を持たれた」

以前、フラウンホーファーIISを取材した際に、LE Audioの標準コーデックとしてLC3を採用した理由についても考察すした。

Bluetooth SIGとしての見解も直接確認してみることにした。

コルドラップ氏はまず重要だったのは消費電力だったと述べた。

コルドラップ 
「SBCは電力がかかりすぎるのが課題だったので、まず低消費電力のコーデックが必要だった。LC3だと圧縮しても音質が落ちないのが魅力だった」

そこでLC3の低遅延特性は重要だったのかと質問した。

コルドラップ 
「まず我々の要求事項をいくつか出して、それに適合できるコーデックを探した。データレートが低くても音質が落ちないものだ。ターゲットは20ms未満の低遅延をを満たせるもので、演算処理が複雑でなく、電力消費が少ないことも要件だった。様々なコーデックを探した結果、フラウンホーファーとエリクソンのLC3が最適と考えた。LC3はSBCと比べてデータレートが半分で済み、音質も良いからだ」

つまり、あくまで様々な要件を総合的に満たすものとしてLC3を選んだという見解だ。ここでLE Audioの低遅延特性の目標値として20msという数値が出たが、最近のLE Audio採用機でよく聞く数値は50ms前後だ。

そこで「実際のところは50ms程度ではないか」と聞いてみた。

コルドラップ 
「SBCでは遅延が100~200msだったが、LC3では20msは可能な目標値だ。実装にもよるが、現在でも20msは実現可能だ。ここは信頼性を上げるために再送するなど、ロバストネス(通信安定性)とのトレードオフなので遅延は製品の実装によるものだろう」

理想的な環境においては20msが達成可能だが、通信の安定性を上げるために冗長性などを増すと現実的には適切な値に落ち着くというわけだ。

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