妊娠中のアセトアミノフェン使用に関連した言語の遅れ

妊娠中のアセトアミノフェン使用に関連した言語の遅れ

要約
新しい研究により、妊娠中のアセトアミノフェン使用と幼児期の言語発達の遅れとの間に関連性がある可能性が明らかになった。

この研究では、妊婦のアセトアミノフェン使用を継続的にモニタリングし、2歳と3歳の子供の言語発達を正確に評価した。アセトアミノフェン使用の増加、特に妊娠第3期における増加は、2歳児の語彙の少なさ、発話の短さと関連していた。

妊娠第3期におけるアセトアミノフェンの使用は、2歳児の語彙を2語ずつ減少させることに関連し、胎児の脳の発達への影響を懸念させた。

主な事実
  1. この研究では、妊娠期間中のアセトアミノフェンの使用を追跡し、2歳と3歳の子どもの言語発達を評価した。
  2. 妊娠第3期におけるアセトアミノフェン使用の増加は、2歳児、特に男性における著しい言語の遅れと関連していた。
  3. 胎児の脳の発達、特に言語の発達は妊娠第2期から第3期に起こるため、この時期の影響は極めて重要である。

    出典 イリノイ大学


アセトアミノフェンは、妊娠中に使用できる市販の鎮痛解熱剤の中で最も安全なものと考えられている。研究によると、北米とヨーロッパでは50%~65%の女性が妊娠中にアセトアミノフェンを服用している。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究者が、妊娠中のアセトアミノフェン使用と幼児期の言語発達との関係を調査した。その結果、アセトアミノフェンの使用量の増加が言語の遅れに関連していることが判明した。

この研究結果は、Pediatric Research誌に掲載された。

以前の研究で、妊娠中のアセトアミノフェン使用と子供のコミュニケーション能力の低下との関連が見つかっている。しかし、それらの研究は、今回の研究で適用された方法よりも精度の低い言語発達の測定方法を用いていたと、I.大学比較生物科学名誉教授Susan Schantz氏のもとで大学院生として研究を率いたMegan Woodbury氏は述べた。

この研究は、妊娠中および小児期の環境暴露が子どもの発達にどのような影響を与えるかを探る「イリノイ・キッズ発達研究」の一環として行われた。Schantz氏はIKIDSの主任研究者である。Woodbury氏は現在、ボストンのノースイースタン大学の博士研究員である。

「これまでの研究では、妊娠中の人々にアセトアミノフェンの使用について尋ねるのは、せいぜい3学期に1回程度でした。」とWoodbury氏は言う。「しかし、IKIDSでは、妊娠中4~6週間ごとに、そして子供が生まれてから24時間以内に、参加者に話を聞きました。」

言語分析には、妊娠前から追跡調査を受けていた298人の2歳児が参加し、そのうちの254人が3歳時に再調査を受けた。

2歳児については、マッカーサー・ベイツ・コミュニカティブ・ディベロップメント・インベントリー(MacArthur-Bates Communicative Development Inventories)を使用した。このインベントリーは、子供の語彙力、言語の複雑さ、子供の最も長い3つの発話の平均長さについて親に報告するよう求めるものである。

「というのも、この時期は『言葉の爆発』と呼ばれる時期で、子供たちは毎日単語を増やしていくからです。」とSchantz氏は言う。

この語彙力測定では、680語の単語リストの中から子供が使った単語を親に選んでもらった。

親は3年後に再び子供の評価を行い、子供の言語能力を同年齢の子供と比較した。

解析の結果、妊娠第2期と第3期におけるアセトアミノフェンの使用は、早期言語発達の緩やかではあるが有意な遅れと関連していた。

「私たちは、アセトアミノフェンの使用が増えるほど、特に妊娠第3期に増えるほど、2歳時点での語彙スコアが小さくなり、"平均発語長 "が短くなることを発見しました。」とWoodbury氏は語った。

「3歳の時点で、妊娠第3期のアセトアミノフェン使用量が多いほど、親が子供の言語能力を同級生より低く評価することと関連していました。」とSchantz氏は言う。「この結果は主に男児に見られました。」

最も劇的な発見は、妊娠第3期にアセトアミノフェンを使用するたびに、2歳児の語彙がほぼ2語減少するということであった。

「このことは、ある妊娠者が妊娠第3期に13回、つまり週に1回アセトアミノフェンを服用した場合、その子供が2歳の時点で他の同年齢の子供より26語少ない単語しか表現できない可能性があることを示唆しています。」とWoodbury氏は語った。

「胎児の脳の発達は妊娠中ずっと起こりますが、妊娠第2期と第3期は特に重要な時期です。」とSchantz氏は言う。

「聴覚は妊娠後期に発達しますが、言語の発達は赤ちゃんが生まれる前の妊娠後期にすでに始まっています。アセトアミノフェンはエンドカンナビノイド系を介して鎮痛効果を発揮すると考えられています。」

この知見は、より大規模な研究で検証される必要がある、と研究者たちは述べている。それまでは、妊娠中の発熱や深刻な痛みや不快感に対してアセトアミノフェンを服用することを恐れるべきではない。非常に高い熱のような状態は危険であり、アセトアミノフェンのような薬を使用することは、おそらく助けになるだろう。

「本当に必要な時に服用できる他の選択肢はありません。しかし、軽度の痛みや疼きを治療するために薬に頼るときは、もっと慎重になるべきかもしれません。」

資金提供
この研究は、国立環境保健科学研究所と米国環境保護庁の助成によるChildren's Environmental Health and Disease Prevention Research Centerと、国立衛生研究所のEnvironmental Influences on Child Health Outcomesプログラムの支援を受けている。

著者:Diana Yates
出典:イリノイ大学
連絡先:ダイアナ・イェーツ - イリノイ大学
画像:画像のクレジットはNeuroscience News

オリジナル研究:オープンアクセス。
Examining the relationship of acetaminophen use during pregnancy with early language development in children(妊娠中のアセトアミノフェン使用と小児の早期言語発達との関係を検証する)」Susan Schantz氏他 Pediatric Research誌

リンク先はアメリカのNeuroscience Newsというサイトの記事になります。(原文:英語)

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