純音閾値 ≤ 25 dB HL の若年成人における静寂と騒音下での音声知覚の関係

純音閾値 ≤ 25 dB HL の若年成人における静寂と騒音下での音声知覚の関係

J Am Acad Audiol 2022; 33(07/08): 390-395
DOI: 10.1055/s-0042-1757443

要約

背景
標準的な聴覚評価プロトコルは静寂な環境での測定を利用しますが、雑音中の音声認識(SRN)テストは、静寂な環境での測定からは推測できない情報を提供することが指摘されています。

目的
この収束的妥当性研究の目的は、静寂と雑音中での行動反応の関係を調査することでした。

研究デザイン
500~6000 Hzの閾値に基づいて、両耳の純音平均(BPTA)を算出しました。また、静寂中の「Hearing in Noise Test(HINT)」の閾値(HINT-Q)も測定しました。SRNのパフォーマンスは、HINTノイズフロント(HINT-F)条件とAzBioテストを使用して評価しました。HINT-Fは定常状態の音声形雑音を使用し、AzBioは10人の話者によるバブル雑音を使用します。すべての条件はランダム化されました。

研究サンプル
この研究には、純音閾値が25 dB HL以下の若い英語を母語とする女性50名が参加しました。参加者の平均年齢は20.5歳(標準偏差=1.47)でした。

データ収集と分析
すべての測定値間の関係を定量化するために、ピアソン相関係数が使用されました。

結果
HINT-Q閾値とBPTA(0.5~6.0 kHz)の間に統計的に有意な関係が見られました(r=0.62、p<0.01)。また、HINT-F閾値とAzBio(0 dB信号雑音比)スコアの間にも有意な関係が見られました(r=-0.41、p<0.05)。静寂と雑音中の測定値の間には有意な関係は見られませんでした。

結論
純音閾値が25 dB HL以下の個人においては、SRN能力は純音検査や静寂中の音声認識測定から推測するのではなく、直接測定されるべきであることが示唆されます。HINT-F閾値からAzBioのパフォーマンスをある程度予測でき、その逆も可能である可能性があります。

キーワード
雑音中の音声認識 - 音声知覚 - 診断

臨床への影響
純音閾値および静寂中の音声認識測定は、純音閾値が25 dB HL以下の個人におけるSRN能力の良好な予測指標ではないことを臨床家は認識すべきです。ある程度、HINT-Q閾値はBPTAから、HINT-F閾値はAzBioスコアから推測することができます。また、臨床使用のためのテストプロトコルを選択する際、SRNテスト間の収束的妥当性にも留意すべきです。

研究の限界
この研究の結果は、年齢が異なる参加者や、純音閾値が高い参加者、より広範なSRNパフォーマンスを持つ参加者、または顕著な雑音曝露歴を持つ参加者には一般化できない可能性があります。

この研究は、2020年のアメリカ聴覚学会バーチャルポスターホールで発表されました。

発行履歴
受領日:2020年8月12日
受理日:2022年8月16日
オンラインでの記事公開日:2024年7月29日
© 2024. American Academy of Audiology. この記事はThieme社によって公開されています。

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