要旨
はじめに
最近、HEAR-awareアプリが開発され、補聴器の対象となる成人を支援するために使用されていますが、まだ使用する準備ができていない人々に向けて提供されています。このアプリは自己管理ツールとして機能し、コミュニケーション戦略や感情的な対処法などのさまざまな対象行動(TB)についての支援を提供します。生態学的瞬間的評価と介入を使用して、アプリはユーザーに、日常生活で直面する難しい聴取状況に関する簡単な調査を完了するよう促します(生態学的瞬間的評価)。これに応じて、ユーザーは報告された音響環境の特性に基づいてカスタマイズされたものも含む、TBに関する教育コンテンツ(ビデオ、テキスト、ウェブリンク)の「スニペット」を受け取ります(生態学的瞬間的介入)。
研究の主な目的
この研究の主な目的は、HEAR-awareアプリの有効性を、さまざまなTBに対する行動を起こす準備を促進すること、および二次的な結果に対する影響を評価することでした。
副次的目的
副次的な目的は、アプリの使いやすさ、有用性、およびユーザー満足度を検討することでした。
方法
ランダム化比較試験(RCT)のデザインを使用し、二群に分けました。聴力障害のある50歳以上の参加者は、補聴器小売業者を通じて募集され、介入群(n = 42、平均年齢 = 65歳 [SD = 9.1])または対照群(n = 45、平均年齢 = 68歳 [SD = 8.7])に無作為に割り当てられました。介入群は4週間にわたりアプリを使用しました。対照群には介入はありませんでした。すべての参加者は、基準時点(T0)、4週間後(T1)、さらに4週間後(T2)のオンラインアンケートを完了しました。参加者の5つの対象行動(TB)に対する行動を起こす準備状態は「ラインコンポジット」で測定されました。二次的な結果のリストが使用されました。意図通りの解析は、線形混合効果モデルを使用して、グループ(介入/対照)、時間(T0/T1/T2)、およびグループ×時間の相互作用を含めて実施されました。さらに、アプリの使用状況に依存するかどうかを調査するために、プロトコルに従った解析が行われました。二次的な目的に関しては、システムの使いやすさスケール(SUS)、内発的動機づけの自己評価尺度、国際的結果インベントリ-代替介入(IOI-AI)のアイテム4、および推奨アイテムが使用されました(T1時点での介入群のみ)。
結果
目的1に関する結果:The Line Compositeに関しては、T0、T1、T2の期間中に有意なグループ間の差はありませんでした。しかし、The Line Emotional copingに関しては、グループ×時間の相互作用が有意(p = 0.033)で、介入群の感情的な対処行動への行動を起こす準備が対照群よりも高く増加していました。意図通りの解析では他に有意なグループ差は見られませんでしたが、プロトコルに従った解析では、介入群の参加者が補聴補助デバイス(The Line Assistive Listening Devices)を使用する準備が対照群よりも有意に高く(p = 0.049)、補聴器(Staging Algorithm HAs)の使用準備が少なかったことが示されました。
目的2に関する結果:平均して、参加者はアプリを中程度に有用だと評価しました(平均内発的動機づけスコア 5/7)およびその使いやすさを「わずかに良い」と評価しました(平均SUSスコア 68/100)で、約半数の参加者がアプリを「良い」と評価(SUSスコア >70)し、一部の参加者が「受け入れられない」と評価しました(SUSスコア ≤50)。
考察/結論
本研究は、補聴器の使用準備ができていない聴力障害のある成人のリハビリテーションにおいて、HEAR-awareアプリのような自己管理支援ツールの潜在能力を強調しています。使いやすさのスコアの幅は、すべての人に適した介入ではない可能性があることを示唆しています。
要点として以下の点が挙げられます:
1.感情的対処行動の向上
介入群は、感情的対処行動において行動を起こす準備が有意に高まったことが示されました(p = 0.033)。これは、アプリが感情的なサポートの向上に寄与する可能性を示唆しています。
2.補聴補助デバイスの使用意欲の向上
プロトコルに従った解析では、介入群の参加者が補聴補助デバイスの使用準備が対照群よりも有意に高かった(p = 0.049)ことが示されました。これは、アプリが補聴補助デバイスの使用に対する意欲を高める効果があることを示しています。
3.アプリの使いやすさと満足度
参加者はアプリを中程度に有用だと評価し(平均内発的動機づけスコア 5/7)、その使いやすさは「わずかに良い」と評価されました(平均SUSスコア 68/100)。約半数の参加者がアプリを「良い」と評価し、一部の参加者は「受け入れられない」と評価しました(SUSスコア ≤50)。これにより、アプリの使いやすさには個人差があることが分かります。
この結果は、HEAR-awareアプリが補聴器未使用の聴力障害者に対して有効な支援ツールである可能性を示しており、今後の研究では、更なる効果の検証と改良が求められます。
リンク先はEAR and HEARINGというサイトの記事になります。(原文:英語)
https://journals.lww.com/ear-hearing/fulltext/9900/effectiveness_of_the_hear_aware_app_for_adults_not.294.aspx?utm_source=hearingtracker.com&utm_medium=newsletter