未来の社会への責任
楽しい話を耳にするチャンスが少ない毎日ですが
皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
私は少しでも明るい気持ちになれる話題や、動画を探しては
結果的に要らぬ情報も同時に入ってくることに滅入りがちなので
近頃は『SNSなるべくデトックス』なるものをしておりました。
代わりに、自分の思考を客観的に振り返る
マインドフルネスなるものが随分前から流行っていて、
私も時々実践しているので、今回のお休みの間には
多めに取り入れて過ごしてみました。
今そこにあるものに目を向けると
いつも最終的には出家したくなってしまうのですが(笑)
頭のもやもやはすっきりするのでお薦めです。
私が今あるものを見つめるときに必ず登場するのが
敬愛してやまない、イタリアの偉人、ブルーノ・ムナーリです。
芸術家でもあり、作家でもあり、工業製品のデザイナーでもあり
多才すぎる人で、ご存じの方も多いと思います。
悲しい気持ちや、何故?というやるせない怒りの気持ちが
うまれることの多い不安定な空気の中で、
今自分にあるもの、自分に出来る事に目を向けることを
続けてきましたが、簡単ではないですよね、ほんと。
私はついつい暗くなる方に足を引っ張られてしまいがちです。
そんな時にムナーリのこの言葉を思い出すようにしています。
『ある人が将来クリエイティヴな人間になるか、あるいは単なる記号の反復者になるかは教育者にかかっている。ある人が自由に生きるのか、それとも条件づけられて生きるのかは人生の初期段階をどのように過ごしたか、そこで何を経験し、どんな情報を記憶したか、ということにかかっているのである。大人たちは未来の人間社会がかかっているこの大きな責任に気づくべきではないだろうか。』
これはムナーリの『ファンタジア』という本の中の一文です。
これを丸々暗記して思い出しているわけではないのですが、
最後の1文、未来の人間社会が関わっていることへの大きな責任
という言葉をいつも思い出すようにしています。
自分が今すべきこと、出来ること。
自分を育ててくれた親や周りの大人、
家族、友人、環境に感謝するだけではなく、
未来の社会にその感謝を還元するために
自分の存在が今ここにある、と軌道修正をします。
このブログでも可能性の塊である子どもたちに対する思いを
ちょくちょくお伝えしていますが、
私たち、社会に大人として存在している人間には
未来の社会をつくる子どもたちへの責任があると思っています。
特に社会全体が不穏な空気に包まれている
今のような時にこそ、不穏な空気に挫けるのではなく
社会の責任として未来の社会を造る子どもたちに
遺していける行動を起こしたいと思っています。
具体的には後程。
違いはみんなのために
ところで、ムナーリは教育に対してとても熱心でした。
ムナーリの教育メソッドを継承している団体があります。
これまた私の大好きな番組、『奇跡のレッスン』という番組で
2016年に放送された、アート編で
ムナーリメソッド協会の後継者が実施したレッスンで
実際にその内容を見ることが出来ます。
(再放送予定はないそうですがJINOに録画記録があるで
緊急事態が解けたらご興味ある方は是非見にいらしてください♬)
こちらのリンクで詳細が紹介されていたので良かったらご参考までkodomo-manabi-labo.net
ムナーリ・メソッドの目的を簡単に紹介すると、
『考える力を鍛えること』であり、
『周りと自分の違いを受け容れ、その違いは周りのためにあると気づくこと』であり
『固定観念を持たずに考え、違いを楽しむこと』です。
※上記の記事でもとても詳しく解説されています。
そしてこの回のテーマは
『違いはみんなのために』でした。
ムナーリの教育哲学の中には、ある思いが込められています。
彼のデザイン哲学にも含まれているので、
彼の人生の指針だったのかもしれませんが。
先ほどと同じく「ファンタジア」の中にある一文です。
『ファンタジアと発明を利用する方法である創造力は、形成されては絶えず変化しつづける。この創造力は機敏で柔軟な知性を必要とする。つまり、いかなる種類の先入観からも解放された精神、どんな場合にも自分のためになることなら学びとろうとする精神、より適切な意見に出会ったならば自分の意見を修正できるような精神を必要とするのである』
1人の人が持つ力はどんなに優秀な人であっても有限です。
違うもの同士が協力し合うことで、社会の可能性は無限になります。
その方法=創造力を身に着けるのに必要なのは
先入観のない、ものの見方・考え方 だと
ムナーリの遺してくれた様々なものから学ぶことが出来ます。
「教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むこと」
ムナーリとほぼ同年期の第二次世界大戦の混乱の時代を生きた
フランスの詩人、アラゴンの詩の一文に
この言葉があります。(翻訳する人によって少し単語が違うことがあります)
この言葉はムナーリがいつも教えてくれている
どんなことにも好奇心を持ち、学びを続けるという意思と
未来の社会への責任を果たすという思いに通じるものがある
とても好きな言葉です。
私たちJINOは、補聴器に携わる専門家として、
常に謙虚な気持ちで、聞こえに課題を持つ方の解決策を
先入観なく、常に新しい情報を比較検討し
学ばせていただきながら共に見つけ出していくことを
会社の存在意義として捉えています。
沢山の勉強会や講演会の実施を企画していましたが
今後は人数の規定や、開催そのものが難しくなることもあるでしょう。
そんな環境の中で自分たちが出来る事、すべきこととして
先ほどお話した、未来の社会に遺していくことのために
オンラインで補聴器・聴覚心理・聴覚生理を学べるサイトを作ることにしました。
今月中には詳細をお知らせ出来るよう鋭意準備中です。
またYoutubeでも聞こえをより身近に感じてもらうために
「遊び」の発想を取り入れた動画を公開予定です。
※Youtuberの人たちってすごいですね・・撮影も編集も大変です・・・
また公開する際には改めてお知らせさせていただきますが
こんなことを知りたい、こんなことをやってみて!
という案などおありになりましたら、是非ご意見ください!!
今回もお読みいただきありがとうございました。
JINO GOJI
追記:ブルーノ・ムナーリについて
興味をもしお持ちいただけた方がいらっしゃいましたら
こちらの本たちがお勧めです!
※amazonだとなかなか手に入れにくくなっているようです。
他にも絵本などたくさんお勧めなのですが
日本で今あまり買えなさそうなので、買えそうなものをリストしてみました。
■松岡正剛さんがムナーリの本を紹介した記事も面白いのでお薦めです。1000ya.isis.ne.jp
こちらのサイトには日本で見る事の出来ない仕事もまとめられています。
LMH 郷司