<アメリカでの大きな変化>
皆様、「OTC補聴器」という言葉は耳にされたことがありますか?
日本と少し(かなりかな・・)医療制度の異なる国でもある
アメリカ合衆国では、数年前から処方箋なしで買える補聴器を
認可するように国に働き掛ける動きがありました。
理由としては
1)処方箋がないと買えないことで、補聴器のような聴覚補助を受けられる人が限定されてしまうこと
2)処方箋を以って購入することで、コストがかかること
の2つが大きいと言われています。
実際は色んな利権が絡み合ったあんまり美しくない話なのかもしれないですが
解らないことを邪推しても仕方ないのでそこはスルーしておきます。
これらの理由、日本のように聴覚学という学問を学べる場所も、
聴覚専門家=オーディオロジストという専門家制度もない国からすると
あまりしっくりこない話かと思います。
わたしは、会社のHPにも掲載しておりますが
諸外国(特に医療先進国)の補聴器利用者の満足度は高く、
日本はとても低い理由の1つとして
補聴器と補聴器ではない聴覚補助の器械の認識が、
ごちゃ混ぜになってしまっていることから来るものだと考えています。
その背景に聴覚学という学問を
国として評価していない事があると思っているためです。
その話はまた1つブログが書けるくらい長くなるので今は置いておきますが
せっかく専門家がしっかりケアをして、
きちんと聴覚の問題に時間をかけて知識を得た人たちが販売していて
満足度も高いのになぜ今更制度を変えるのか?という点から
単に買いやすい補聴器を認可しただけではない
という背景が透けて見えるわけなのです。
端的にどういう事に変化したかと言いますと
補聴器の購入方法が
今まで : 耳鼻咽喉科医またはオーディオロジストの処方箋を元に購入
OTC :オンライン店舗や実店舗や薬局で購入可能
という選択肢に変化しました。
ただ、OTC補聴器には聴力の制限や年齢の制限も多く
写真にあげたHPのものは18歳以下の人には使えません
といった注意書きがあるように、ある一定の制限は存在します。
<聞こえ辛いと感じる人にとってのメリットは?>
OTC補聴器はごく軽度の難聴を持つ人が対象になります。
世界の難聴者人口統計というものは正確には算出されていないのですが
私が調べた限りでは中等度以上の難聴の人(中等度・高度・重度)全員の数より
聞こえづらさは感じていてもなんの対処もしていない軽度の人の数が多い
という算出になりました。
なぜその人達が対処をしてこないでいたのか、
それは恐らく補聴機器を使用することの価値が
使用しないでいる状態で感じる不便さを上回らないから、だと考えています。
メガネでもなんでも、今まで身に付けていなかったものを
新たに身に付けるのは少し違和感があるように、
補聴機器も大前提としてない方が楽です。
聞こえづらさに悩む状況が限定的であればあるほど
違和感を感じてまで聴覚をサポートしよう!とはなりくいものです。
実際相談にいらっしゃる方に、何よりもまず最初にお伺いするのは
「今何に困っていらっしゃるか、何を不安に感じていらっしゃるか、
不便に感じていて改善したいと思っていらっしゃる事は何か」です。
その点が明確になることで、どんな聴覚レベルの方も
補聴機器を生活に取り入れる必要性の確認がお互いに認識できるためです。
という状況の方が、ご自身の聴力検査を正確にせず
(OTC補聴器の多くがアプリなどを使った自己診断を元に
オンラインやアプリ上で自分の器械を調整します)
自己判断のみで聴覚をサポートする道具
それが今時点で販売されているOTC補聴器の特徴です。
以上の点から、メリットとすると
1)買いたいタイミングで購入可能(処方が不要なため)
2)装用したいときだけ装用可能(自分が聞こえ辛いと思う時だけ補助)
3)聴覚専門家から買うより少し安い(専門家の人件費分、単価が落ちるため)
の3点があげられます。
<聞こえ辛いと感じる人にとってのデメリットは?>
では反対にデメリットはあるでしょうか。
メリットに対する形で考えると
1)処方がないので、主観的な感覚評価に基づく装用になる
(耳の腫瘍や外科治療で治る難聴の場合、見落としが起きる可能性が高い)
2)聴覚の仕組みとして一時的に音声情報をサポートする効果は限定的
(長期的な聴力変化を少なくさせる効果などは得られないと想定される)
※過去の研究データから
3)主観評価のみで客観的に必要な補助が得られないリスクが高い
(自分のことは自分が一番解る という思い込みのリスク)
といったところでしょうか。
3)については最もハイリスクと思う部分で
良く筋トレに例えたりするのですが、
自分で鍛えられていると思ってもやり方を間違えると
ケガをしたり、変な筋肉がついてしまうので
鏡で客観的な自分の状態を確認したり
可能であればプロのトレーナーさんに癖がないかなどを
確認してもらう方が効果の高いトレーニングになる
という状況をイメージいただくと良いかなと思います。
これらのデメリットをOTC補聴器が無くすことが出来れば
市場にしっかりと浸透して欲しい、と願えるのですが
今の時点では、デメリットを感じる人が少ないといいなと
祈る気持ちで見ているというのが私の見方ではあります。
<現在のアメリカ市場でのラインナップ一覧>
自分があまり前向きな印象をもっていないばっかりに
心配が前面に出すぎる紹介になってしまってスイマセン。
今現在は主にアメリカ市場で展開されている製品を
コチラに紹介しておきます。
いずれもっと増えたり日本市場にも参入が増えると予測されます。
上記のメリット./デメリットをご自身に当てはめていただいて
是非専門家への相談と、自分で試すものと比較した上で
ご自身に合うものを見つけていただきたいと願っております!
以下のラインアップはHearing Trackerの記事からの転載になります。
全文はこちらからご確認ください!
上記に加えて、電気機器メーカーが補聴器メーカーと組んで
開発販売を行っているのが以下の3つです。
これ以外にオンラインで「補聴器」と謡って販売しているにも関わらず
実際はFDAという機関の正式承認をとっていないものもあり
どこの国もズルい事を考える人はいるなあ、、という感じです。
本当に損や嫌な気持ちをする方が出ないことを祈るのみ。。。
そしてデメリットとして掲載させていただいた部分が
しっかり解決できた製品が出てくることを待っていたいと思います!
以上、2022年、市場にあった変化
OTC補聴器 というカテゴリーについてのご紹介でした!
今回もお読みいただきありがとうございました!
ご質問やご意見などお待ちしております!
LMH 郷司