わんちゃんと補聴器の関係
訓練士学院の学院生の方とスタッフの方の夏期講習の1コマをいただき
補聴器の役割についてお話する時間を頂きました。
聴導犬ユーザーの方が補聴器をお持ちでいらっしゃることもあるため
補聴器の器械としての役割と限界、
どんなカタチのものがあって
どんなことが出来て、出来ないのか、
といったお話をさせていただきました。
ワンちゃんと補聴器と言えば。。。
ピンとくる人もいると思うのですが
大好きな飼い主さんのニオイに嬉しくなって補聴器噛んでしまう件
が思いつかれる専門家の方が多いと思います。
特に耳あな型の補聴器はシェル(耳にあたる)部分に
飼い主さんのニオイがついていると(人間は気づかなくても)
ワンちゃんの嗅覚は人間の1億倍!とも言われますので
嬉しくってじゃれちゃう気持ちは解りますよね♬
壊れると全面修理なので、ものすごい悲しいんですが
怒るに怒れないですよね。。。
なので補聴器ユーザーの皆様にはくれぐれも
補聴器をティッシュにくるんでおいとくとか、
テーブルにちょっと置いとく、とかされずに
面倒でも外すときはケースにしまってくださいね!
と常にお伝えしております。
※もちろん聴導犬の子たちは訓練されているのでそんなことは起こりません!
聴導犬てご存じですか?
多くの方に、「聴導犬ってご存じですか?」と伺うと
盲導犬なら。。。とお答えになられる方が多くいらっしゃいます。
良くお話させてもらっている、
視力と聴力の話にも共通するのかなとも思いますが
盲導犬のサポートにはイメージが沸いて
聴導犬のサポートにはイメージが沸かないなあ と言われたことも。
協会でいただいた『聴導犬 まるわかりマニュアル』の18ページには
聴導犬が教えてくれる音の例として
・目覚まし時計の音
・ファックス受信音
・ドアベルの音
・ヤカンが沸いた音
・病院や銀行で順番が来た時(受付の方に訓練した鈴を鳴らしてもらいます)
・各種の警報機の音
・家族を呼びに行ってくれる
・炊事/家事のタイマーの音
が挙げられています。
そのほか、一緒に暮らす伴侶となる聴導犬ユーザーの方との訓練期間の中で、
そのかたの個々の要望に合わせて訓練してくれます。
補聴器を使えば?人工内耳を使えば?とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
使う必要はないんじゃない?といわれてしまったりすることもあるそうです。
補聴器も人工内耳も夜寝るときは外します。
災害時の警報が聞こえなかったら、
という不安を抱えていらっしゃる方は沢山います。
私が実際にお会いしてお話をお伺いすることの出来た聴導犬ユーザーの方は
どうしても器械がうまく合わずに途方に暮れていた、
とおっしゃっていました。
聞こえの悩みは、たとえ同じ聴力の方が100人いらしても
お1人お1人、100通りの解決方法があります。
といつもお伝えしている通り、枠を決めずに
聴導犬と暮らしたい、と思われる難聴をお持ちの方には
是非聴導犬との暮らし、という選択肢も知って頂きたいなと思います。
もちろん、生き物と暮らすので、簡単なことではありません。
ですが、先ほどのユーザー様は
訓練は大変だし、生き物なのでご飯や獣医さんのところにかかる注射代など
お金も沢山必要だけれど、
この子が来てくれて、生きるのが楽しくなったのよ、
と涙ながらにお話してくれました。
動物には 心を支えてくれる力がありますよね✨
また、協会の代表の有馬様にお伺いしたところ
イギリスは日本よりも遅いスタートで聴導犬の訓練が始まったのにも関わらず
日本の数倍の子が既に活躍しているとの事でした。
(2020年4月厚労省発表資料によると現在日本で活躍する聴導犬は69頭)
必要ない、と判断されてしまうことや
知名度がなかなかあがらないことなどが理由にあるとの事。
イギリスではオーディオロジスト(聴覚専門家)が
聴導犬を薦めるのは中途失聴者の方に対してが多いとお伺いしました。
ある日突然聞こえなくなる、だんだん聞こえなくなる、という経験をされる方の多くが
身近に聴覚に障害を持つ方のいらっしゃらない環境で過ごされていることもあり、
環境の変化とサポートの必要性に、最適なパートナーと判断されるそうです。
興味がおありになったら
タイトルにある「アシスタンスドッグ」について、
同協会の有馬様の説明をご紹介します。
一部抜粋させていただきますと、アシスタンス・ドッグ(AD)というのは、
「身体障害者の生活での不自由な部分を助ける(アシスタンス)特別に訓練された犬たち」(国際アシスタンス・ドッグ(ADI)協会の規定による)のこと。
色々な人が理解して接することが望ましい存在だと考えられています。
私が個人的に、聴導犬協会の方々の活動で
特に感銘を受けるのが、
活躍している多くの子たちが、元保護犬であることです。
人と暮らし、人のサポートをしていかなくてはならないので
アシスタンスドッグとしての適性を見て
お家で家族として暮らすことが向いている、と判断された子は
聴導犬ではなく、一緒に暮らせる飼い主さんを探したり、
老化によってアシスタンスドッグとしての活動が難しくなった
引退犬の子が、協会に戻ってきて一緒に暮らしていたりします。
http://www.hearingdog.or.jp/index.php?f=hp&ci=10150&i=10197
私が初めてお伺いした時には引退犬のまつ君という、
甲斐犬ミックスの子がいました。
とっても優しい子ですっかりほれ込んでしまって
まつ君が大好きになってしまったのですが、
私と出会った時には既にだいぶ弱っていて3回目の再会は叶わず。
3回目はお墓に飾るお花を持って協会にご挨拶に行きました。
協会の広報誌などに沢山出てくるので、姿を見るたびにほっこりします。
人をサポートしながら一緒に暮らすパートナーとして訓練するだけでなく、
捨てられてしまい、もしかしたら人間の勝手で
命を奪われていたかもしれないこの子たちが
沢山の仲間に囲まれ、大好きなトレーナーさんたちに
愛されて最後の時を迎えることもできる。
生半可な覚悟で関われるお仕事ではなく、
協会の皆様が、優しく、そして真摯な方々です。
興味がおありになる方がいらっしゃいましたら、
直接協会にお問合せしていただいても可能ですし、
JINOで協会からいただいている書籍、
貸し出ししている代表の有馬様の著作などを
お読みいただくことも可能です。
〒399-4301 長野県上伊那郡宮田村7031-1
電話番号:0265-85-4615/0265-85-5290
FAX専用:0265-85-5088
E-mail:inf@hearingdog.or.jp
聴導犬も補聴器も、難聴を持つ当事者やその周りの人からでも
まだまだ知名度が低く、誤解も多いという共通点があります。
誰かの生活をサポートする仕事ができるという点も共通。
聞こえの課題は100人いらしたら100通り。
解決方法も100人いらしたら100通り。
人それぞれです😊
選択肢はその方の生活環境や状況に合わせて
補聴器でも人工内耳でも手話でも補聴援助する器械でも聴導犬でも
1つじゃなくてその中の組み合わせでもよいし、
もしかしたら常にアンテナを張って新しい情報を調べているつもりの私も、
まだ知らない方法があると思います。
それでも、私たちにご相談くださる1人1人の方の
お悩みのそばに寄り添わせていただけることが嬉しく
そしてそのお悩みが改善した時には更にとても嬉しく思っています。
Email:info@jino33.comでも、問い合わせフォームからでも、
なんでもお気軽にご質問いただけたら嬉しい限りです。
今回もお読みいただきありがとうございました!
ご意見・ご感想お待ちしております!
LMH 郷司