聞こえない人の世界を知って
千田 こんにちは、千田あかりです。新しい学年を迎て、ドキドキしている人もいるでしょうか。このコーナー「ぱぴぷぺぽ」は、大垣京佳さんと私の2人でお送りしています。生れつき耳が聞こえない私たちが、同じように聞こえない人、聞こえにくい人たちのことを伝えていきますね。
呼び方いろいろ
千田 耳が聞こえなかったり聞こえにくい人のことを、読者のみんなは何て呼んでいるのかな。大垣さんは自己紹介の時、どういう表現を使つかう?
大垣 「耳が聞こえないです」と言うことが多いかな。
千田 私は「聴覚障害者」という言葉をよく使うけれど、自分と同じように耳の聞こえない友達と会う時は、「ろう者」と言うこともあるよ。
大垣 そもそも、「ろう者」ってどういう人のことだろう?
千田 一般的には「補聴器を付けても音の区別が難しい人」や、「主なコミュニケーション手段が手話の人」のこととなっているね。私たちは手話も使っているから、「ろう者」とも言えそう。
大垣 耳が聞こえにくくても、手話を使っていない人もたくさんいるよね。その場合ばあいは「ろう者」には当てはまらないのかな。でも、そういう人たちの中にも自分を「ろう者」と表現する人たちはいるかもね。
千田 「障害」という表現を避けて、「聞こえない人」や「聞こえにくい人」という言葉を使う人もいるね。ちなみに「ろう」は漢字で書くと「聾」。難しい字だなあ。
生まれつきだけじゃない
大垣 聴覚障害者、難聴者、ろう者など、さまざまな呼び方があるけれど、共通しているのは「耳が聞こえない、聞こえにくい」ということ。このコラムでは「耳が聞こえない人」という表現をよく使ってきたね。
千田 「聞こえない」背景にも、いろいろなパターンがあります。生まれつきではなく、病気や加齢で大人になってから聴力が下がることもあるね。少こし聞こえづらいけれど、補聴器を付ければ電話できる人もいれば、私たちみたいに補聴器を付けても音声がほとんど分からない人もいるよ。
大垣 そうだね。これからも、「聞こえない」「聞こえにくい」人たちのことを、いろんな形で知ってもらいたいです。
千田 また来月の「ぱぴぷぺぽ」でお会いしましょう!
監修の佐沢静枝んから 「手話は言語」魅力も知って
テレビや新聞、インターネットで「ろう者」「難聴者」という言葉を目にしたことはありませんか? 全国各地の自治体では、「手話は言語である」と考え、理解を広げていこうとする「手話しゅわ言語げんご条例じょうれい」がつくられています。手話しゅわに興味を持つ人が増えているようです。
私は自分のことを「ろう者」と呼んでいます。手話を使かう環境で育った人たちを一般に「ろう者」と呼びますが、実際は手話を知らない「ろう者」もいます。また、1対1なら会話ができる「難聴者」もいます。手話の魅力を生かしたろう演劇やろう映画もありますよ。
聞こえないことは一つの個性で、自分らしく生きられることが大切です。お互いを理解し合い、歩み寄れる社会を、みんなでつくっていきたいですね。
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千田あかり
1997年生まれ、広島県出身。生まれたときから耳が聞こえない。ほかの家族は全員耳が聞こえるが、家の中のコミュニケーションは主に手話。2020年に毎日新聞社に入社。趣味はゲームをすること、読書、イラストを描くことなど。
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大垣京佳
1997年生まれ、千葉県出身。生まれたときから耳が聞こえない。家族は耳が聞こえ、家族とのコミュニケーションは筆談、スマホのメモ機能を使かっている。2020年に毎日新聞社に入社。趣味はマンガを読むこと、食べること。
【監修】立教大学日本手話講師・佐沢静枝さん
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