
書籍のタイトルは「きょうだいの進路・結婚・親亡きあと 50の疑問・不安に弁護士できょうだいの私が答えます」(中央法規、税別1800円)。4月10日の「きょうだいの日」を前に出版された。扶養義務や結婚問題など、当事者が悩みがちな項目をQ&A形式でまとめている。
藤木さんは埼玉県上尾市出身で、5歳の時、3歳下の弟に聴覚障害があることがわかった。「その後は、長男の弟に向くはずだった期待が全て自分に向いた」。父は弁護士で、両親には同じ道に進むことを望まれ、「弟の分も頑張って」「将来は弟をよろしくね」と言われた。「だから頑張れたという部分もあるが、逃げ道がなくて本当につらかった。親もプレッシャーを与えていると気付いていなかった」と振り返る。
「自分が頑張らなければ」という思いは、社会人になっても藤木さんを縛った。27歳で司法試験に合格。東京の大手法律事務所で働きたいという希望も抱きつつ、弟の世話も視野に父の事務所で働き始めた。憲法では、住む場所や職業選択の自由が保障されていると知っていても、実感がなかった。
書籍のQ&Aは、そうした体験や、2010年ごろから参加した当事者団体で触れた事例を下敷きにまとめた。帯の文言「私は一生……」は、多くの当事者から聞かれた言葉だという。本では、きょうだいの扶養義務は両親が未成年の子供を扶養する場合とは異なり、自分に余裕がある範囲で助ける「生活扶助義務」であることや、その基準を説明。ほかにも、交際相手に自身がきょうだいであることを伝えるタイミング、福祉サービスの利用方法といった話題もピックアップした。イラストを多用し、読みやすいデザインになっている。
藤木さんは「きょうだいの選択肢は千差万別だが、人生のステージによって考え方も変わるし、1度決めたことを変えてもいい。その参考になればうれしい」と話している。【国本ようこ】
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