2024/09/10 15:34 九州発けいざい
パナソニック補聴器の工場で、記者の耳型を基にしたオーダーメイドの補聴器の試作をしてもらった。
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耳の形にあったオーダーメイド用補聴器の耳型採取(6日、佐賀県鳥栖市のパナソニックコネクト佐賀工場で)=中山浩次撮影
工程は大きく4つに分かれる。まずは、耳型を採る。鼓膜を守るための耳栓をした上で、粘土のような溶剤を穴に入れる。数分待つと固まるので、この世に一つだけの型ができあがった。歯医者で歯型をとるようなイメージで、特に痛みなどもなく、初めて見る自分の耳の穴の形は、カタツムリのよう。実際の購入する場面では、販売店で有資格者による耳型の採取が行われ、佐賀県鳥栖市の工場に送られるという。
ここから工場内での工程で、届いた型はスキャナーに入れて三次元の立体データにする。技術者がコンピューター上に映し出される立体データを基に、設計図に仕上げる。部品の配置や、着脱がしやすい形状にするため、いらない場所を削り落としたり、表面を滑らかにするなど、データを加工して、形を作り上げた。
3Dプリンターで制作された補聴器本体の部品(6日、佐賀県鳥栖市のパナソニックコネクト佐賀工場で)=中山浩次撮影
本体を作るのは3Dプリンターだ。設計図のデータを取り込むと静かに動き始め、層状に少しずつ本体の形が現れる。約1時間程度でシェルと呼ばれる本体部品ができた。
ここからはすべて手作業で、技術者は顕微鏡を見ながらの作業になる。レシーバーと呼ばれる音を拡大する基幹部品をシェルの中に配置して動かないように固定。配線を基板にハンダ付けして、シェルのふたとなる部分を貼り合わせる。無駄な部分を削り落とし、塗装を行うなどして完成。販売店に出荷される。
3D画像によって制作され完成した補聴器(6日、佐賀県鳥栖市のパナソニックコネクト佐賀工場で)=中山浩次撮影
補聴器がオーダーメイドなのは、形状だけではない。販売店では、購入者に合わせて、聞こえ方を調整する。一人一人、聞こえにくい音の差があるためで、高音だけや、低温だけの音量を上げるなど、実際に商品を装着してから調整し、ようやく、「聞こえやすい補聴器」が完成するという。
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