手話ダンス、町職員ら表情豊かに 共生のまちづくりへ、大会参加

手話ダンス、町職員ら表情豊かに 共生のまちづくりへ、大会参加

歌詞や楽曲の世界観を手話や踊りで表現する「手話ダンス」。

9月下旬に初の全国大会が開かれる兵庫県福崎町にブームが訪れている。

複数のチームが誕生し、「YKB∞(ワイケイビーエイト)」という町の若手職員によるグループもあるという。

「難しい」「みんな、どうやってやっているの」。

閉庁後の町役場の会議室で、慣れない動きに悪戦苦闘する職員の声が行き交う。

手話ダンスは歌詞や楽曲のイメージを体の動きや表情などで表現する芸術だが、多くは手話やダンスが未経験。

講師の指導を受け、窓に映った体の動きを確認しながら週1回、終業から1時間程度、練習に励んでいる。

なぜ職員が手話ダンスに励むのか。

そこには町の取り組みに加え、固定概念にとらわれず、住民が幸せに暮らせる町づくりを目指そうという職員一人一人のチャレンジ精神があった。

町は障害の有無に関わらず、誰もが安心して暮らせる共生社会づくりを進めている。

4月、関西福祉大(赤穂市)やアートを通じて障害者や高齢者の社会参画に取り組む一般社団法人「ART FUNK」(加西市)と連携協定を締結した。

その一環で5月にダンスイベントを開催。

そこで尾崎吉晴町長が手話ダンスに感銘を受け、福祉課で手話経験のある飯塚竜太さん(35)を中心にチームを結成した。

「自分の業務とは関係ない仕事にも関わり、いろんな視点を持ってほしい」と若手に声を掛け、学校教育課や住民生活課などに所属する20~30代の男女8人が集まった。

チーム名のYKB∞は「役場(やくば)」と8人に由来する。

ろう者との交流会や手話の勉強会などもする。

メンバーの岡本一成さん(23)は上下水道課に勤務。小学生の頃に聴覚障害のある同級生がおり、手話は身近だった一方、手話を知らなかったため学びたいとチームに加わった。

「自分の仕事で精いっぱいだったが、町民との関わりを意識するようになった」と自身の変化を感じている。

チームのダンス楽曲は、鹿児島の公務員が所属するジャズバンドが作った応援ソング。

希望を持って生きる人の強さが他の誰かの希望になる、という思いが込められている。

地元の神崎ろうあ協会が手話にした。

飯塚さんは「自分たちの手話ダンスが誰かの光になり、多様性の中から生まれる共生について考えるきっかけになれば」と話す。

町職員チームが地元枠で参加する「全国手話ダンス甲子園」(日本パラアート協会主催)は23日午後3時から町エルデホールで開かれる。

千葉市と岡山県倉敷市であった予選を経るなどした12チームが出演する。【喜田奈那】

リンク先は朝日新聞というサイトの記事になります。
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