音を脳に伝える電気信号が減少
小さな音や高い音が聞き取りにくくなった、聞き間違えが増えた……。
これらに思い当たる人は加齢性難聴の可能性があると話すのは、慶應義塾大学名誉教授で、オトクリニック東京院長の小川郁先生です。
「人間は、耳で集めた音を電気信号に変えて脳に伝え、音や言葉として認識します。ところが、加齢で血流が滞ったり、代謝が悪くなったりすると、音を電気信号に変える有毛細胞が劣化して、電気信号の量が減少。すると脳にうまく信号が届かなくなり、音が聞き取りづらくなるのです。有毛細胞は再生したり増えたりしないため、一度聴力が衰えてしまうと、残念ながら元の状態に戻ることはありません」
(小川先生。以下同)
加齢による聴力の低下は、40代ごろから始まり、少しずつ進行するため自覚しづらいようです。
「家族や友人から、テレビの音量や話し声が大きいと指摘されて初めて自覚するケースが多いですね。イヤホンを着けて大音量で音楽やラジオを聴くなど、大きな音にさらされる時間が長い人ほど難聴が早く始まり、進行スピードも速い傾向にあります」
毎日の生活習慣を見直して
年齢とともに少しずつ進行し、70代になると半数、80代以上では約8割が難聴といわれる状態になるそう。
耳の聞こえを少しでもよい状態で長くキープするには、できるだけ静かな環境で過ごすことが大切です。耳を酷使していないか、毎日の生活習慣を見直してみましょう。
「WHO(世界保健機関)によると、耳を傷めない1週間あたりの音量と音にさらされる時間は、走行中の電車内や飛行機の機内と同じ80デシベルで40時間まで。
就寝時は、寝室をできるだけ静かな状態に保って。旅行などで長時間、乗り物を利用する際は、耳を守るため耳栓をするようにしましょう」
また、音を電気信号に変える有毛細胞を活性化させるために、脳への血流を促すことも重要なポイント。
「規則正しい生活と一日3回のバランスのよい食事、一日7000~8000歩のウォーキングといった運動が血のめぐりを促します。」
生活習慣病も血流を滞らせる原因となるため、改善に努めましょう」
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