COVID-19が乳児の聴覚発達に与える影響

COVID-19が乳児の聴覚発達に与える影響

親子に関する「1-3-6ガイドライン」の現状とCOVID-19の影響

「1-3-6ガイドライン」では、すべての赤ちゃんが生後1ヶ月までに聴力スクリーニングを受け、スクリーニングに合格しなかった赤ちゃんは3ヶ月までに診断評価を受け、聴覚障害と診断された赤ちゃんは6ヶ月までに適切な早期介入に登録されるべきとされています。

しかし、国全体でこれらの目標を達成していません。2023年のアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、2021年には新生児の98%が出生後に聴力スクリーニングを受けたとされています(最新のデータ)。やったー!しかし、新生児聴力スクリーニング(NBHS)に合格しなかった赤ちゃんのうち、診断評価を3ヶ月までに受けたのはわずか42.7%でした。最後に、聴覚障害と診断された赤ちゃんのうち、6ヶ月までに早期介入に登録されたのは42.2%でした。

多くの課題が残されています! では、なぜこれらの目標を達成できていないのでしょうか?COVID-19はこれらの割合にどのような影響を与えたのでしょうか?


COVID-19の影響を調査した研究

Veerannaら(2024)は、COVID-19の発生前(2019年)と初めの2年間(2020年、2021年)の間の聴力スクリーニングの紹介率を調査しました。彼らは、大規模なレベルIIトラウマセンターでの自動聴覚脳幹反応(ABR)を使用した8,000件以上の聴力スクリーニングの後ろ向き分析を行いました。

主な結果:

スクリーニング数の変化
前パンデミック(2019年)とパンデミック後(2020年、2021年)の間で、赤ちゃんのスクリーニング数に有意な変化はありませんでした。

妊娠中のCOVID-19の影響
COVID-19に感染した母親から生まれた赤ちゃんは早産であることが多かった。

NBHS紹介率の変化
妊娠中にCOVID-19に感染した母親とそうでない母親の間で、新生児聴力スクリーニングの紹介率に有意な違いは見られませんでした。

今後の課題と対策
COVID-19の影響にもかかわらず、スクリーニングの受診率や早期介入の登録率に大きな変化は見られませんでしたが、依然として多くの赤ちゃんが早期の診断と介入を受けていない現状があります。このことから、以下の点に注力する必要があります。
  • アクセスの改善:聴力スクリーニングと診断評価のアクセスを改善するための施策が必要です。
  • 保健システムの強化:特に高リスク妊婦への支援と、出生後の早期介入プログラムの充実が求められます。
  • 教育と啓発活動:親や医療提供者への教育と啓発を通じて、早期診断と介入の重要性を広めることが重要です。

今後もデータに基づいたアプローチと社会全体の協力が必要です。私たち全員が協力し、赤ちゃんの聴力ケアの向上を目指しましょう。


参考文献
Centers for Disease Control and Prevention. (2023). 2021 Annual Data Early Hearing Detection and Intervention (EHDI) Program. Retrieved June 5, 2024, from CDC EHDI Program Data.

Veeranna, S. A., Marx, C. G., Choi, H. W., White, C., & Ward, K. (2024). A retrospective analysis of newborn hearing screening outcomes in infants whose mothers were COVID-19 positive during pregnancy. Journal of Early Hearing Detection and Intervention, 8(2), 34–38. DOI: 10.5274/johd.2024.8.2.34.


リンク先はAMERICAN ACADEMY OF AUDIOLOGYというサイトの記事になります。(原文:英語)
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