「ヒアリングループ」、「FMシステム」、「ロジャー」。
これらは補聴器や人工内耳が苦手な聞こえの環境(距離と騒音)を克服する”補聴援助システム”と呼ばれるシステムです。
話者の声をマイクロホンで拾い、補聴器/人工内耳に届ける仕組みで、話者が離れた位置にいる場合や騒がしい環境でも、騒音や反響音に邪魔されることなく話者の声をよりクリアに聞くことができます。
<各補聴援助システムのイメージ>
ヒアリングループ、赤外線システム、FMシステムは施設に設置されている敷設型と難聴者が携帯する携帯型があります。
デジタル補聴援助システムは携帯型のみとなっています。
<集団補聴援助システムの歴史>
1950年代 ヒアリングループ
? 赤外線システム
1968年 FMシステム
1997年 国内:75 MHz帯利用FMシステム
2007年 国内:169 MHz帯利用FMシステム
2013年 国内:デジタル補聴システム(フォナック社ロジャー)
各補聴援助システムの特徴は以下の通りです。
ヒアリングループ | 赤外線システム | FMシステム | デジタル 補聴システム |
|
利用技術 | 磁気 (Tコイル) |
赤外線 | アナログ電波(FM) 169 MHz |
デジタル電波 2.4 GHz |
主な長所 | ・施設に敷設されていれば使用可能 | ・他の部屋との干渉がない | ・どこでも使用可能 | ・音質が良い ・どこでも使用可能 |
主な短所 | ・補聴器/人工内耳内にTコイルが内蔵されていないと利用できない ・蛍光灯やパソコンのモニターなどから出る電磁波をTコイルが拾い雑音として聞こえることがある |
・屋外で使用できない ・赤外線が遮られると音が途切れてしまう |
・同じ建物でマイクロホンが複数あると、他の部屋の声が聞こえることがある ・マイクロホンが複数あると、干渉して雑音として聞こえることがある |
・集団補聴用で使用する場合、費用が高い |
補聴援助システムは、公共機関、教育現場、文化施設などで使われています。
導入システム (集団補聴システムの普及実態に 関する調査研究) |
都道府県 (n=27) |
市区町村 (n=269) |
文化施設 (n=213) |
聴覚特別 支援学校 (n=73) |
ヒアリングループ(敷設型) | 66.7% | 51.7% | 48.8% | 58.9% |
ヒアリングループ(携帯型) | 74.1% | 59.1% | 13.1% | 2.7% |
赤外線補聴システム(敷設型) | 14.8% | 6.3% | 14.1% | 26.0% |
赤外線補聴システム(携帯型) | 7.4% | 2.2% | 7.5% | 8.2% |
FM補聴システム(敷設型) | 3.7% | 4.8% | 6.6% | 5.5% |
FM補聴システム(携帯型) | 14.8% | 5.6% | 9.9% | 30.1% |
デジタル補聴システム(敷設型) | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 5.5% |
デジタル補聴システム(携帯型) | 11.1% | 3.3% | 0.9% | 56.2% |
出展:厚生労働省令和元年度障害者総合福祉推進事業「集団補聴システムの普及実態に関する調査研究」
「集団補聴システムの普及実態に関する調査研究」原文はこちら
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