医療・健康
2025.03.26
(Image by Billion Photos/Shutterstock)
COVID-19パンデミック時にはマスク着用で口の動きが見えなくなることで、聴覚障害者のコミュニケーションが困難になりました。本研究は、その実態と関連する要因を分析し、日常的な支援者の有無や外出頻度、障害の等級などが困難さに影響し、支援者の存在が困難を軽減することが分かりました。
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック時にはマスクの着用が広まりました。マスクは感染対策において重要な役割を果たしましたが、一方で、口の動きが見えなくなり、声がこもって聞き取りづらくなるために、聴覚障害者のコミュニケーションに大きな影響を及ぼしました。しかし、具体的な困難の実態は分かっていませんでした。
本研究では、厚生労働省のデータを用い、聴覚障害者410人を対象として、パンデミック時に他者がマスクをしているためにコミュニケーションに苦労した体験の実態を明らかにし、これに関連する要因を分析しました。その結果、55.6%の聴覚障害者が、コミュニケーションの困難を経験しており、日常的に生活を支える支援者がいる場合はコミュニケーションの困難を経験しにくかったこと、65歳以上と比較して40〜64歳である場合、外出頻度が高い場合、聴覚障害の等級が重い場合は、困難を経験しやすかったことが明らかになりました。
これらの結果は、マスク着用が広まったことで、他者とのコミュニケーションの頻度が高いと考えられる、比較的若く自立した活動的な聴覚障害者ほど、コミュニケーションの困難を経験したことを示しており、普段は自立している聴覚障害者でも、パンデミックのような緊急時には、支援が必要となると考えられます。
PDF資料
プレスリリース
研究代表者
筑波大学医学医療系
渡邊 多永子 准教授
掲載論文
【題名】 Communication difficulties among individuals with hearing impairments during the COVID-19 pandemic and their associated factors: a cross-sectional study using a national survey in Japan
(COVID-19パンデミックにおける聴覚障害者のコミュニケーション困難とその関連要因:日本の全国調査を用いた横断研究) 【掲載誌】 BMC Public Health, Volume 25, Article number: 1002 (2025) 【DOI】 10.1186/s12889-025-22108-5
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