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2013年12月16日、全国の市町村で初めて手話を「言語」として位置づけた「手話に関する基本条例」が北海道石狩市で制定された。

それから10年。

手話への理解を深める環境作りは少しずつ実を結んでいる。

聴覚障害者が暮らしやすく、市民が手話を日常の一部と感じられる取り組みはこれからも続いていく。

狩市で最も長い40年の歴史がある手話サークル「石狩ひまわり手輪の会」。

毎週木曜日に会員が集い、手話を学んでいる。

会長の玉手千晶さん(73)は大学生の時に手話に出会い、札幌市の専従手話通訳者などを務めた。

石狩市の基本条例制定に携わり、手話の普及、施策を進める市の推進懇話会委員としても活動しており、「手話はすてきなコミュニケーション。石狩市に条例ができ、聞こえない人への市民理解が進み、手話を生活の一部として捉える人が増えてきた」と話す。

石狩市は1985年設立のNPO法人「石狩聴力障害者協会」をはじめ、市民が主体となったサークルが通訳支援などの活動に取り組んでいた。

その中で12年に同市で開かれた「全道ろうあ者大会」で、当時の田岡克介市長が「手話の基本条例に取り組みたい」と公言。

条例案は市議会で全会一致で可決された。

制定後は市民向けの「手話講習会」が始まり、14年からは市内の小中学校で簡単な手話を教える「手話出前講座」がスタート。

昨年度までに小学校で計1298回、中学校で計317回、延べ8404人の児童・生徒が受講した。

市内の商業施設やホテル、企業などを含めると延べ約5万7000人が受講する広がりをみせている。

一方、新型コロナ禍により、人が集まって手話を学ぶ機会が減った時期もあった。

だが、市保健福祉部障がい福祉課の山本健太主査は「子どものころから継続して手話に触れ合う機会があり、広がりを感じている。動画やオンラインで手話を学ぶなど、時代に対応した取り組みをこれからも進めたい」と話す。
【三沢邦彦】

手話を言語と定義した「障害者権利条約」は、06年12月に国連総会が全会一致で可決。

これを機に国内でも手話を音声言語と同じように学べるよう全日本ろうあ連盟が12年に「日本手話言語法案」を公表した。

各自治体では条例として定める動きが広まり、13年10月に鳥取県が全国初の条例を定めた。

市町村は石狩市が初。同連盟によると、全国で506自治体(23年11月10日現在)、道内では道をはじめ、23市6町が条例を定めている。

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