<原作と短編集の読破をおススメ>
節分にもそこかしこで目にした鬼滅の刃の主役、
炭治郎の緑×黒の羽織や、
鬼になった妹、禰豆子のピンクの麻模様の着物。
皆さんは、作品を何かご覧になりましたか?
マンガの原作は23巻で完結、ファンブックが2冊
(第弐巻は2月4日に発売されたばかり)
別の作者さんが書かれた外伝が1冊。
アニメは漫画原作の6巻までの作品がアマゾンやネットフリックスでも公開、
そしてあの千と千尋を越えたことで話題になった映画が1作。
全部これから制覇するとなると、結構大変かと思います。
私は全部制覇しました!w
そして作者の吾峠呼世晴さんの
デビュー作含め、短編集も読破したうえで、
是非いろんな方にも堪能して欲しいなあと思い、
今更感満載ではありますが考察を書いてみようと思い立ちました。
※今更!と思っていたのですが、遊郭編(原作だと8巻の70話~)のアニメが放送決定!というニュースが2月15日に出ていました✨楽しみです!!
※アクセシビリティの点について
アニメは今も字幕表記可能、
映画は、公開当時は視聴覚の情報保障対応をしている劇場がありました。
現状をすべての会場で確認できていないのですが
公式情報はこちらに更新されて行かれると思いますので参考までにご覧ください!
出版社によっては読み上げ機能付きの保障が利用可能になっているのですが
本作の集英社さんはまだ名前がなかったので難しいかもしれません。
情報が少なく申し訳ないです。
もし読み上げできるコンテンツをご存じの方がいらしたらご教示ください!
<指文字のしびれる役割>
プロのライターの方から
私のような素人のファンの方も含め
すんごい量の考察が公開されているのに
なんで今更自分も紹介しようと思ったか。
理由が2つあります。
1つ目は指文字が効果的に使われるのが
カッコイイ!と思う印象的なシーンがあったことです。
鬼滅の刃の原作のなかで指文字が出てくるのは
17巻143話の1回。
そしてファンブックの2巻で特別公開されている
単行本未収録漫画① 煉獄零話にも出てきます。
ファンブックはこんな感じです↓
ネタバレはしたくないので詳細は記載しませんが
指文字の登場シーンは両方とも、
ものすごく悲しい辛いシーンです。
でも、とてつもなく壮大な
「人を想う思い」が伝わるシーンで使われています。
鬼滅のお話の中には忍者の話とか
技術的にこれ無理‥というものもある中に
指文字が人を救う場面で使われているんですよ~
カッコイイんです。
自分ではない誰かのために命を懸ける人たちが
その思い遂げるために使います。
思いを伝えるコミュニケーションに
手を使えるという事が、す~っと自然に入ってくるので
気にしないとスルーしてしまいそうになるんですが、
結構画期的なことな気がしてどうしても伝えたくなってしまいました。
あ、もうなんかテンションが高めに書いてしまってスイマセン。
鬼滅の刃のストーリをご存じない方のために
念のため紹介しますと
時は大正時代、主人公の少年は家族(母、弟3人妹1人、父親は病死で既に死別)を
鬼に惨殺され、自分のほかに生き残った唯一の家族である妹も鬼にされてしまったため、
鬼の始祖を退治し妹を人間に戻すために闘うというお話です。
紹介は本作の公式サイトでどうぞ↓
<想い の果たす仕事>
私はアニメを見て、映画も見て、からの原作に向かいました。
漫画は漫画喫茶が開けるくらい持っていて
ありとあらゆるジャンルを読んでいるつもりですが
コストの安い順番に入って行ったのと、
鬼滅の刃は、結構グロというか目を背けたくなる描写も多いのが辛くて
原作は読み切れないかな~と思って避けていたという理由もあります。
実際、映画も年齢指定ありのクラス設定です。
映画を見に行った理由も、マーケティング畑で仕事をしてきた以上
何故こんなに盛り上がっているのか、ちゃんと自分の目で確かめねば!
というあんまり素直ではない感じで申し訳なく。
さらに映画を見に行った感想も
アニメと同じでグロさが厳しい‥という気持ちと
アニメーション・グラフィックの美しさにほれぼれしたのと、
煉獄さん(映画で主人公の主役度を完全に超える存在感の人)凄かった。
という感じでした。
このビジュアル、見覚えのある方も多いのでは。
こんなビジネス系の記事にまでなっちゃってスゴイ印象度ですよね。
とまあ、そんな冷めた感じの距離感だったわたしが、
原作と短編集の読破をおススメするまでになったのか。
指文字が違和感なく超重要な場面で使われるカッコよさに
しびれたのが1つですが、
もう1つの理由が、原作者のまっすぐな想いが
まっすぐ受け止められたから、と申しますか
原作を何回か繰り返し読んでいくうちに
心に入り込んできた、と申しますか。
どなたも言及・考察されていないので
完全なる私の妄想一直線ですが、
作者の吾峠さんの短編集も読んでみて
この方は何らか理不尽な犯罪の被害者かその家族、
または被害者が近くにいるんじゃないかと勝手に思ってしまうほど、
主人公や登場人物の台詞の1つ1つがとても重厚で
心に残るものが多いのです。
原作を読んでいて
この人、大切な存在を失った、
それも理不尽な理由で失った経験があるんじゃ?
と感じてしまいました。
勝手な空想なので、ただの天才さんで
そういう立場の人の気持ちを自分ゴトに出来る
凄い方なだけだとは思いますが。
今まで沢山の本を読んできて、
例えば犯罪被害者家族と犯人家族のストーリーとで、
理不尽な立場に立ったことのある人が書いたものと
丁寧に取材されて書かれたものには、
心に届く重さが違うと感じる私にとっては、
鬼滅の刃の数多くの台詞、
短編集の作品のテーマと台詞が
共に作者の方の経験に興味が湧いてしまうものだったのです。
(悪い意味の興味ではなく、親近感と尊敬の意味を込めた興味です。)
特にそう感じたのが23巻の202話
「どうして一生懸命生きている優しい人たちが
いつもいつも踏みつけにされるのかな
悔しいよ」
というセリフでした。
作者のインタビュー記事などは見つからなかったので
本当のところは解らないですし、
担当の編集者さんのインタビューを見る限り
『漫画の天才、セリフの天才』、ということなので
やはり単なる妄想なんですが、
鬼滅の刃以外の作品を読んでも、何かこう
人の生の悲しみと虚しさと、同時に輝きを知っている
人なんじゃないかという親近感を勝手に抱いてしまいました。
編集者さんのインタビューはこちらです↓
紹介したインタビューで編集者の方がお話されている通り
印象的で心に響くセリフが多く登場します。
そのいくつかをご紹介します。
1つ目は原作の漫画内で2回ほぼ同じ表記で登場する長いもの。
1度目の登場は、主人公が所属する、鬼を退治する組織の中で
特別に強い柱という立場の人の1人が、
組織に入ったきっかけとなる人物の遺書として、
19巻の168話に登場。
2度目は最終23巻の204話に登場します。
↓のセリフです。
「光輝く未来の夢を見る
大切な人が笑顔で天寿を全うするその日まで
幸せに暮らせるよう
決してその命が理不尽に脅かされることがないよう願う
たとえその時自分が生きてその人の傍らにいられなくとも
生きていて欲しい
生き抜いて欲しい」
最終巻はそれに加えて
「ただひたすら平和な
何の変哲もない日々が
いつまでも
いつまでも
続きますように」
と続き、最終話では
「本当につらいことはなだれのように
一瞬で人を飲み込み何も選ばせてはくれない」
と出てきます。
人の生(命)の真理だなあ~と
しみじみしてしまう台詞で
読むたびに胸が苦しくなります。
こんなに胸に来るセリフたちを、実体験がなく書けるとしたら
人に寄り添いまくれる言葉の天才としか思えない。
やっぱりただの天才ですね。笑
遺言についての考察にもこんな面白い物がありました↓
セリフといえば映画でも出てくる、
イノシシに育てられた伊之助の
「どんなにみじめでも恥ずかしくても
生きて行かなければならない」
という台詞も、生きることの辛さと、
命に向き合う辛さを語ってくれている気がします。
書き出したらキリがないのですが(笑)
ちなみにセリフは、人気投票までありました。
ほんとすごいな・・・
↑の伊之助のセリフは人気8位だそう♬
そしてこの漫画の素晴らしいところとして、
セリフ以外にも。
敵である鬼が鬼になった理由が、
人間の業を丁寧に描いている部分です。
自分が一番でありたいとか、自分が可愛いとか
権力に惹かれてとか、という単純な理由だけではなく、
自分が勝手に人に嫉妬して、
勝手に敵愾心を持ってしまったがゆえになど、
『鬼も人間だったんだ』という台詞も出てくるくらい
人間の弱さとか脆さ、醜さの部分が見事に描かれています。
少年漫画にしておくのが勿体ないくらいの
深く重い人物設定が多くて
(私は少年漫画も大好きです。念のため。笑)
作者の吾峠さんには是非、
次は大人向けの作品も書いて欲しいくらい。
人物それぞれの深さは、主人公周りのポジティブな登場人物にも
敵役の人物(鬼)にも、共通する「想い」の強さでもあります。
自分以外の誰かを想う、尊い想いと
自分のことしか考えない、悲しく空しい想い。
その対比が見事で、最後に実を結ぶのは尊い想いであることと
多くの人がそれぞれの心に触れる部分を見つけられる、
奥の深い作品だからこそ、ここまでの人気になったのかな、と思います。
同時に少年漫画の明るさや軽さを失っていないことも
重い話になりすぎない大事な要素で
小さい子どもから大人まで幅広く愛されているのだと思います。
私は特に思い入れのある人物がいたりするわけではないのですが
17巻の104話で、自分には才能がないと嘆く少年に対して
主人公が、
「自分に出来なくても必ず他の誰かが引き継いでくれる
次に繋ぐための努力をしなきゃならない
~中略~
自分は志半ばで死ぬかもしれない
でも必ず誰かがやり遂げてくれると信じてる。」
という台詞がとても好きでした。
自分が聞こえの課題をゼロにすることの
目標の大きさと自分の器の小ささに悩むたびに
思い返す言葉と同じだったので。
ちなみにその相手の少年の詳細まで辞典にされてました。
人気作ってほんとすごいですねえ!!
鬼滅の刃、きっとそれぞれに発見があると思うので
まだの方は是非見てみてください~
少年漫画に励まされ(笑)
今日も、出来る事をコツコツと。
昨日の自分にできなかったことが出来るように
丁寧に地道に、生きる事の大変さや辛さに挫けず
自分以外の誰かが残してくれて来た尊い想いを
自分もしっかり未来につなげていきたいと思います。
今回は長くなってしまいました💦
ちょうどよい長さに収めるって難しいですね…
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
ご意見ご感想などもお待ちしています!
LMH 郷司