聴力はいくつですか?
自分の仕事についてご紹介するときに、よくお聞きする質問があります。
「〇〇さん、視力っていくつですか?」
「実は、結構悪くって左が0.02くらいで、右も0.07とかなんです。」
「そうなんですね~そしたら、聴力はどれくらいです?」
「えっ!!? あ、知らないです。どれくらいなんだろ??健康診断でひっかかったことはないですけど・・・」
とほとんどの方が、こんな感じの回答をくださいます。
視力に関しては皆さま、左右だいたい覚えていらっしゃるんです。
学生時代は健康診断で毎年はかるし、社会人でも毎年健康診断を受けていらっしゃれば結果の表に記載してあるし、運転免許証の更新にも数字が必要だし。
だいたい覚えている方が多いのではないでしょうか。
ちなみに私も左右共に、健康診断の結果を覚えています。
聴力については・・・
今まで正確な数値をお答えいただいた事はなんと1回しかありません!
その1回も耳鼻科のお医者様のお答え。
さみしい限り・・・
健康診断の結果も「正常範囲内」としか書いていなくて、自分の数値さえ分かりません。
(ちなみに自分の聴力データは、別途はかっていただいたものを覚えていますが・・)
そこで、聞こえない・聞こえにくいと悩んでいらっしゃる方も、
ご自身の周りの家族や大切な方が聞こえにくそう?とご心配の方にも、
まず知っていただきたい2つの事をご紹介します。
1つ目は聞こえに、段階=グラデーションがあるということ。
2つ目は自分の聴力を知っておいて損はないということ。
1つ目のグラデーションについて。
ちょっと想像してみてください。
家族やお友達から「最近目が見えないんだ。」と言われたら?
自然と「視力はかってもらったら?」とか「近くが見えない?遠くが見えない?」といった感じで返しませんか?
多くの方は視力には 見える⇔見えない の間に「見えにくい」状態があって
数値で2.0~0.01といったグラデーションで分けられることを
しっかりご存じだから、見えない「程度」について知ろう とされると思います。
その上でメガネが必要だったらメガネを作るし、すでに持っていれば度を変えるということを違和感なくされるのではないでしょうか。
では、家族やお友達から「最近耳が聞こえないんだ。」といわれとしたら?
「病院に行ってみたら?」とは返されると思うのですが
「聴力診てもらったら?」とか「高い音が聞こえないの?低い音が聞こえないの?」なんて話にはならないんじゃないかなと思います。
健康診断に毎年行かれている方はご存じかもしれないですが、
健康診断ではかってもらえるのは大抵、1000Hzと4000Hzの2箇所だけなので
聞こえにも、「聞こえる→聞こえにくい→聞こえない」という数字で表せるグラデーションがあることはあまり意識されていないように思います。
本当はせめて250(125)Hz~8000Hzまで8箇所をはかってもらって
それぞれの高さの聞きやすさ・聞こえにくさを確認してほしいんです。
それによって必要な対処が全然変わってしまうので。
早急にお薬で対処出来れば改善する症状もあれば
大きな病気が隠れている症状もありますし、
聞こえ方によって必要な器械(道具としての補聴器や補聴援助機器)も
全く変わってくるからです。
聞こえにくい・聞こえないなというときは、聴力検査機器を揃えていらっしゃる耳鼻咽喉科のお医者様にみていただくのが確実です。
(聴力や聴力検査については、後日別途記事を作成します。)
2つ目の、自分の聴力を知っておいて損はないということ。
ご自身の「聞こえ」の基本データなるものを知っておくと
良いことがあるんです。
それは「聞こえ」の変化が私たち全員に関係することだから。
ちょっと難しい話なので、耳の聞こえ方とか、聴力の仕組み
というのはいろんなところに記載されている記事を読んでいただけばいいかなと思うのですが、(お薦めの耳の聞こえ方の説明:耳鼻科の先生が作られている説明動画)
人間40歳を超えれば、徐々に徐々に、個人差もありますが耳は聞こえにくくなります。
特に高い種類の音から聞こえなくなる傾向にあります。
体の機能がそういう風に出来てしまっているので、これは上手にお付き合いするしかないのですが、今日現在の医療で、その聞こえにくくなってしまう細胞の減少を修復することは出来ません。
いろんな方が研究されてお薬などの治験も始まっていますのでこれからは色々変わっていくかもしれないですが。。
ともあれ、多くの方は聞こえにくくなったりした時に補聴器や補聴援助機器といわれる器械で、
その衰えてしまった働きを補う形で使用をしていきます。
その際に、聞こえにくくなってしまっている量が大きければ大きいほど、
器械が補ってくれる音の量の多さにびっくりしてしまうことが多いんです。
なので、なるべくその量が少ないうちに、気づいて早めに対処を始めることで
違和感が少なく比較的快適に道具を使いこなすことが出来るんです。
早めに気づくためには、定期的に自分の数値の変化を見ておくことが一番です。
例えば、毎月1キロずつ体重が増えて、気づいたら1年で12キロ増えてしまった場合
ちょっとずつの変化に本人が気づきにくいのと同じで
年齢が原因で聞こえにくくなるタイプの聞こえ方の場合、
少しずつ少しずつの変化で数値が変わっていくので、数値を定期的に見ていないと、
気づいた時にはかなり聞こえにくくなってしまっている方がほとんどなんです。
気になられる方は是非、1年に1度程度で構わないので
検査機器の整った耳鼻咽喉科で聴力検査を受けることをお勧めします。
聞こえの課題をゼロにするのが、私たちの目標です。
いつもする「聴力どれくらいですか?」という質問に
「右が平均聴力で40dBで、左は35dBなんですけど、左だけ高域が低いんですよ~」
なんていう感じで、誰もが気軽に答えてくれるような社会になっていったら
聞こえの課題が少なくなっている証になるかな。
なんて思っています。
お読みいただきありがとうございました。
LMH 郷司