聴覚障がい者のバスケットボール「デフバスケ」。
コートに響きわたるボールやシューズの音は選手たちには聞こえません。
試合中は手話やハンドサインなどでコミュニケーションを取ります。
11月初めに行われた女子日本代表候補の強化合宿に密着しました。
■音のない世界で戦う「デフバスケ」
コートに響き渡るボールやシューズなどのさまざまな音。
しかし…。
選手たちにはほとんど聞こえていません。
聴覚障がい者のバスケットボール「デフバスケ」。
試合中の選手は補聴器を外すことが義務付けられているため、手話やハンドサインなど聴覚以外をフル活用してコミュニケーションを図ります。
デフバスケ女子日本代表 坂本知加良ヘッドコーチ
「普通だったら、ボイスコミュニケーションを取るところを”どうする?””僕らはどういう方法が良い?”ということを常に問いかけながら、僕たちらしい答えを常に探してチャレンジしている」
■3歳で耳が聞こえづらく… 体を動かすのが好きで始めたバスケット
静岡県で行われたデフバスケ女子日本代表候補の強化合宿には、全国から14人の選手が集まりました。
北信越から唯一招集されたのが、鯖江市出身の丸山香織選手(24)です。
耳が聞こえづらくなったのは3歳のころ。
体を動かすのが大好きで、中学校からバスケを始め、強豪・足羽高校に進学。数々の全国大会に出場しました。
しかし、他の選手とのコミュニケーションの悩みは常に抱えていました。
(手話)丸山香織選手
「(高校卒業後に)父親の紹介でデフバスケットを知りました。デフバスケットってどういう世界なんだろうと興味を持って挑戦しました」
■U-21世界選手権で準優勝 次なる目標は「デフリンピック」
丸山選手はすぐに頭角を現し、19歳の時に21歳以下日本代表として世界選手権での準優勝に貢献。
ベストファイブに選ばれ、翌年には県勢初となるフル代表入りを果たしました。
(手話)丸山香織選手
「今までU-21で銀メダル獲得して、ポーランドの世界大会では7位という結果。そこで終わらずに金メダルをとりたいという気持ちがあります」
次の目標は、2025年に東京で開かれるデフスポーツの世界大会「デフリンピック」です。
■デフバスケをもっと広めたい 日本代表候補のリーダーに
丸山選手は強いフィジカルをいかしたパワーのある突破力と、体を張ったディフェンス力が持ち味です。
(手話)丸山香織選手
「自分のプレーはスピードよりパワーなので、相手とフィジカルで負けないようにプレーしていきたい」
丸山選手は日本代表候補の中ではリーダー的な存在です。
(手話)選手間でのやりとり
「みんな集まって!今みんな切り替えていい感じになってる。この調子で5on5、頑張っていきましょう」
□夕食でのやりとり
丸山選手「8番ラーメンおいしいよ、オススメ」
他の選手「食べたい」
丸山香織選手
「食べながら話すと、ろう者は手話を使うから手が止まってしまう。食べるのが遅くなる。あるあるだよね」
若松優津選手
「香織は初めて会った時に、デフバスケが分からなかった私をサポートしてくれて、面倒見がいいなと思います」
デフバスケ女子日本代表 坂本知加良監督
「デフバスケットを世の中に広めたいという思いを強く持って活動している選手だと思う」
■健常者のチームとの練習試合で見せた「ボールへの執着心」
合宿2日目は健常者のチームとの練習試合。
丸山選手は持ち味のフィジカルを生かした力強いドライブで得点を奪います。
前半はほぼ互角の戦いでしたが、点差が少しずつ開き、65‐84で敗れました。
それでも丸山選手はチーム最多の20得点をマークしました。
静岡県の社会人チームの選手
「声とボール音が聞こえない分、ひとつのボールへの執着心がすごいなと思いました。私たちが見習わなければいけない」
試合後、丸山選手は積極的に後輩選手に声をかけ、アドバイスを送っていました。
(手話)丸山香織選手
「コート内で生かせるようにコミュニケーションを取っていくことが大事だと思っています」
■丸山香織選手が掲げる「My Dream」とは?
『東京デフリンピック金メダル』
「(2年後の)デフリンピックを通じて、デフバスケットだけでなく、デフスポーツ、そして難聴者を知ってもらって認知度を上げていきたい。東京デフリンピックはゴールではなく、これからにつながっていくような活動をしていきたい」
シュートが描く放物線のように、聴覚障がい者と健常者をつなぐ架け橋になりたい。
2年後の金メダルに向けた丸山選手の挑戦が続きます。
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