一般社団法人日本オーディオ協会は、12月6日の「音の日」にちなんだイベントを都内にて開催した。
(中略)
■「軟骨伝導は巨大マーケット」発見者・細井氏が特別公演
最後には今年の音の匠として選ばれた、奈良県立医科大学学長の細井裕司氏の顕彰式が執り行われた。
細井氏は空気伝導、骨伝導に続く“第3の聞こえ”「軟骨伝導」の発見者であり、かつ普及に尽力していることから、研究内容と社会貢献性を鑑みて選出に至ったという。
細井氏は「2004年の発見以来、今では世界で40の論文が発表されているが、製品として世に出なければ社会貢献できない」としたうえで、軟骨伝導の特別講演を実施。
人間は内耳の蝸牛管で音声情報を受容して“音を聞いて”おり、空気伝導の場合は外耳道から入った音が鼓膜を伝い、骨伝導の場合は頭骨を伝って蝸牛管に受容される。
一方、軟骨伝導は機器を外耳道軟骨に当てて振動させる、つまり軟骨を振動板として外耳道内に音を生成し、鼓膜から蝸牛管に送る仕組みなのだそう。
軟骨伝導イヤホンは耳の穴に押し込む必要がないため耳垢が付かず、かつ音の出口をはじめとした穴や凹凸がないことから汚れても清拭しやすく、従来のイヤホンよりも清潔で「耳の健康」を守れるという。
また構造的に耳穴を塞がず、音漏れも少ないため、ながら聴きイヤホンや補聴器・集音器にも使えるとアピール。
従来のイヤホンや骨伝導ヘッドホンでは不可能な「水中でのステレオリスニング」も可能なほか、軟骨伝導で耳のツボを刺激できるとして、東洋医学での応用研究なども行われているとのこと。
こうした特徴から「スマホからウェアラブル端末、スマートグラス、インカムなど、軟骨伝導には巨大マーケットが存在する」と細井氏はアピール。
近年では金融機関や役所、病院などの窓口で、耳の遠い高齢者に向けた窓口用軟骨伝道イヤホンの普及も進んでいるが、コンシューマー向けでは2022年にオーディオテクニカが発売した「ATH-CC500BT」くらいしか存在しないことから、「ぜひメーカーの皆さまに、軟骨伝導の製品を日本から出してほしい」と語った。
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